2006年02月22日

AROI

今日は紅天に猪吉さんの姿がなかった。
一杯目のレモンサワーを出してくれたのも雪子さんだった。
私は不思議に思って雪子さんに猪吉さんはどうしたのか訊いてみた。
雪子さん「福岡に行ってるんですよ彼」
私「福岡?旅行ですか?」
雪子さん「まあそんなとこ。(くすりと笑って)なんでも五所八幡宮という神社にムーミンそっくりのこぶがついた木があるそうで、それを見に行ったんです」
私「へー。見てみたい。五所八幡宮ってどこにあるんです?博多ですか?」
雪子さん「いいえ。古賀市って玄界灘に程近い所だそうです」
私「へー。でもなんでまたムーミンのこぶをわざわざ見に行ったんですか?ムーミンが好きなんですかね」
雪子さん「うーんなんかね、ムーミンも私達も似たようなもなんだから、私達もいつかそういうこぶや人面痣になって世の中に現れるかもしれないって言ってましたよ。その前にどんなものか見てくるんですって」
私「ムーミンと似たようなもの?」
雪子さんは意味ありげに笑顔を作ってから再びワイングラスを磨き始めた。
私から一個席を空けて座っていた艶っぽい女性がいきなり口を開いた。
「福岡なら博多にも寄るわよね?」
雪子さん「ええ。飛行機ですし」
女性「うちの旦那の飲み相手にでもなってくれないかしらねぇ。一晩でもいいから。頼んどけばよかったわぁ」
女性は気だるそうに顔の前で揺すっている焼酎グラスを見つめながら言った。
・・・あれ、もしかしてこの人・・・。

<今日の食事>
新宿 AROIより
●海鮮おこわ
●蒸し鶏の胡麻ダレサラダ
IMGP1107.JPG
●ハタハタ唐揚げ チリマヨソース
IMGP1109.JPG
●サムギョプサル
●葱ワンタンスープ
●茸とキムチの炊き込み御飯
IMGP1110.JPG
●生レモンサワー
●赤ワイン(ラシャス デュパプ コートデュローヌ)
<今日の本>
「分身」東野圭吾

posted by pikkumyy at 21:23| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月20日

PAZOO 2

その晩からヘビコはハンチの家で暮らすようになった。ハンチの家族はマチをはじめ全員大雑把な性格のためヘビコを家においておくことに反対する者はいなかった。
ハンチの兄が家を出る前に使っていた8畳間がヘビコにあてがわれた。
最初こそ部屋に閉じこもって何か一人ぶつぶつとつぶやいていたが、一週間もすると家事を手伝うようになった。どこで覚えたか料理は長年主婦をやっているマチをしのぐ腕前で、得意料理は餃子、唐揚、ハンバーグ、肉まん、酢豚、、回鍋肉、スコッチエッグ、シシカバブ、豚肉の生姜焼き、豚カツ、牛丼とどれも肉料理だった。
ヘビコの料理の腕前を知ったマチは彼女を夕食係りに任命したが、肉料理ばかりが続くのに気付き、それからは朝食と昼食に野菜料理と魚料理を作るよう心がけなくてはならなかった。それでもヘビコの料理は全てプロ級だったので誰も文句を言うものはいなかった。

その晩も皆でヘビコの料理に舌鼓を打っていた。ハンチはアルバイトで帰りが遅くなり、皆が食事を始めて間もなくして帰ってきた。ハンチは居間に入りちゃぶ台に並べられた料理を見て眼を輝かせた。
「うおー今日もうまそうだな。唐揚大好物!」
「熱いうちにいただきなさい。うまいよ今日の唐揚も。なんだかいつもの肉と違うようだけど、これ本当に鶏の唐揚かい?」
ハンチは座布団に座るとすぐにから揚げに手を伸ばし口に放り込んだ。
彼が「うん、うまい!」と感嘆の声をあげたのとヘビコが「蛙の唐揚です」と返答したのはほぼ同時だった。
一瞬前は満面の笑みをたたえていたハンチの目が点になり、口を半開きにしたまま咀嚼するのをやめた。それまで笑顔だったマチも、
「あんた・・・蛙って・・・」
「蛙の唐揚が一番好きです」
「いやそうじゃなくて、私食用蛙なんて買った覚えないよ・・・」
「そこの川原で捕まえました。いっぱいいます。小さいのばかりだから大きいの見つける
の大変でしたが、5匹捕まえました。こんな大きいの」
ヘビコは両手ででソフトボールほどの大きさの円を作ってみせた。

<今日の料理>
PAZOOより
○シェフの気まぐれサラダ(オリーブオイ&ヴィネガー)
IMGP1097.JPG
○パルメザンチーズのフリッタータ
IMGP1098.JPG
○生ハムのピザ
IMGP1099.JPG
○あさりとバジルのスパゲティ
○森のきのこ達のあつあつマリネ
○グラス赤ワイン
<今日の本>
「優駿」宮本輝
posted by pikkumyy at 20:04| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月17日

京都ぎをんおいしんぼ

蛇子・ハンチ物語(つづき)

ハンチが帰るとマチはヘビコのことをあれこれ訊いてきた。ハンチは彼女の質問を適当に
交わし自分の部屋へ行った。畳に横になり天井を見ていると胸のむかつきを覚えた。目を
閉じていても部屋が徐々に暗くなっていくのがわかる。部屋の暗さが増すにつれ、瞼裏
に浮かぶヘビコの姿が鮮明になっていく。
その幻影に神経を集中させていると頭の片隅で何かがざわめくような気がした。しばらく
その感覚が何であるかを考えていた。どのくらいそうしていただろうか。ハンチははっ
と目を見開いて起き上がった。部屋の灯りをつけ、がらくたばかりが収まっている押入れ
をがさごそ探り始めた。
「あった!」探りあてたのは古びたアルバムだった。中学校のものだ。久万中学校となっている。ハンチは自分のクラスのページを開き、一人一人の顔写真を指でなぞっていった。そして一人の少女の写真で指を止めた。「蛇尾・・・文子!」写真は少女時代のヘビコのものだった。

どうして彼女の姿を見てかつてのクラスメートであったことを思い出さなかったのだろう。
ハンチは走りながら思った。彼女にしてもそうだ。10年という歳月はそれほどまでにお互いの容姿を変えてしまったのだろうか。確かに彼女は美しく成長ていた。そして自分もかつてのもじゃもじゃ頭からハンチング帽がトレードマークに変わった。そして彼女は学年の途中で転向してしまった。しかしそれだけで、かつて隣同士になったクラスメートを思い出せなかった
自分が信じられない。

ハンチが予想した通りヘビコはそこにいた。道の脇で膝をかかえ、頭をうずめていた。道は暗かったが彼にはそれがヘビコだとわかった。
「お前、何やってんだよ」
ヘビコの目の前に立ってそう言った。彼女はゆっくり顔を上げた。
「早く帰らないとまたひどいめ遭うぞ!」
しばらく沈黙が続きヘビコが口を開いた。
「私は。帰れません。この姿では帰れません。だから私を踏んだ人を見つけなくてはいけないんです。・・・でも・・・」
ハンチはしゃがんでヘビコと目線を同じくした。暗くてはっきりしなかった彼女の顔が少
しはっきりとした。
「文子・・・」
ヘビコは目に涙をためてきょとんとしていた。
「ふみこ・・・?」
「お前文子だろ?蛇尾文子だろ?俺のこと覚えてない?中学校の時隣の席だった」
「私は文子ではありません。私はヘビコです」
この頑なな態度、本当に自分は間違っているのだろうかとハンチはひるんだ。
その時彼はあることを思い出し髪で隠れた彼女の右耳たぶを探り当てた。目を凝らすとそ
こに真っ黒で小さなホクロが見えた。
「やっぱお前文子だよ。お前よくそのホクロでからかわれてた。ピアスみたいだって」
ヘビコは自分の右耳に指をあてた。
「ホクロがあるなんて知りませんでした」
ハンチは頭が混乱してきた。もしかしたらこいつは乱暴されたショックで記憶をなくして
いるのかもしれない。きっとそうに違いない。
「とりあえずうちに来いよ。帰るとこないんだろ?」
ヘビコはこっくりうなずいた。

<今日の料理>
●のれそれ
IMGP1104.JPG
●石焼盛り合わせ(豚トロ、肩ロース、椎茸、獅子唐等)
IMGP1102.JPG
●湯葉豆腐
●おいしんぼサラダ
●麩ー麩ー京風西京グラタン
IMGP1105.JPG
●鯖寿司
IMGP1106.JPG
●赤ワイングラス×2
<今日の本>
「あたしの一生 猫のダルシーの物語」 ディー・レディ

posted by pikkumyy at 22:25| Comment(16) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月14日

豆花

紅天の扉を開けるとふんわりと甘くほろ苦い香りが一日の疲れを一瞬で吹き消してくれた。
ヴァレンタインデイということで雪子さんが手作りチョコレートを作っていたのだ。カウンターには蛇子、その他2人の客が腰かけていた。私がいつもの場所に座ると残りの席は蛇子の隣1席とになった。

最近席につくと蛇子を観察するのが癖になっている。なんせ蛇子とハンチングマン推理物語を書いている身なので。
今日も猪吉さんから生絞りレモンサワーをいただいてから早速観察開始。飲み物はやはりモッキンバード。しかし今日はマドラーが細長いチョコレートスティックだった。なかなか気がきいている猪木さん。

読んでいる本は「蛇よさらば」。聞いたことない本である。彼女が読んでいる本はいつもそうだ。お品書きにも書いていないところを見ると裏メニューか何かのようだ。私が確認できたこれまでの本は「華麗なるギャッツヘビー」「我輩は蛇である」「6月の蛇とり紙」「蛇と共に去りぬ」「三蛇史」「冷静と情熱の蛇」「「赤毛の蛇」「アリババと40人の蛇族」「ノルウェイの蛇」などである。

そしてここ1、2週間の間で彼女の読書スピードが普通の人の100倍ほど早いことがわかった。ほとんどの本をものの5分で読み終わってしまうのだ。本当に物語を全部読みきっているのかはわからないが、いつも5分くらいで次の本にうつるのである。なので彼女はいつも数冊の本をまとめて注文する。

今日もわきに6冊の本を積み上げて「蛇よさらば」を読んでいた。積み上げられていた本は以下のとおり→「蛇のために鐘はなる」「蛇と罰」「蛇の器」「若き飢える蛇の悩み」「マイ・フェア・ヘビ」「80日間世界の蛇を一蹴」
雪子さんが手作りチョコレートを皿にのせて蛇子の前においた。蛇子はそれには目もくれずひたすら読んでいる。

そのうち私の前にもチョコレートが出された。
私「おいしそうですね。ありがとうございます」
雪子さん「みかんのブランデーが入ってるんですよ」
一口頬ばると少し粘りのあるみかんのブランデーが口の中に広がった。ブランデーの甘さとビターチョコの苦さが絶妙で、しばしその味の余韻にひたっていた。自然に目が閉じ全ての感覚を口中のチョコレートに集中させていたせいだろうか、紅天に新たな客が入ってきたのに気付かなかった。

目を開けると蛇子の横にハンチングマンが座っていた。いつの間に!?その素早さ忍のごとく。
彼は蛇子に出されたチョコレートをつまもうとしていた。しかしそれを見た雪子さんすかず「あ、ハンちゃん!」と言って彼の手をぴしゃりと叩いた。
雪子さん「それは彼女用。あんたはこっち」
ハンチングマン「あ、そうかこいつ用ってことは・・・」
雪子さん「蜜柑のはっぱについてた芋虫を半年間ブランデーに漬け込んだ芋虫酒入り」
ハンチングマン「おっとやばいやばい。そいつぁー食えん」
そして自分に出された皿からチョコレートをほおばった。

しばらくして蛇子が傍らに置いていたバッグから紙袋を取り出しハンチングマンに渡した。
ハンチングマン「サンキュー」
中身を取り出すときちんと包装された正方形の小箱。チョコレートに違いない。
ハンチングマンはばりばりと紙を破り箱のふたを開けた。
ハンチングマン「おおうまそうじゃんチョコレート!毎年ありがとな」
私はお手洗いに行くふりをしてちらっとその箱の中をのぞいてみた。拳くらいの大きさのとぐろを巻いた蛇型のチョコレートだった。しかもブラックチョコとホワイトチョコのシマシマ。よく見ると蛇の目がハート型だった。蛇子がちょこっとかわいらしく思えた。

<今日の食事>
池袋 豆花より
●薬膳豆腐
●きまぐれシーフードアジアンサラダ
IMGP1093.JPG
●茄子のガーリック炒め
IMGP1094.JPG
●ブリトロの竜田揚げ
IMGP1095.JPG
●タコス風豆腐のチリソース
IMGP1096.JPG
●生絞りレモンサワー
●ハウスワイン
●桂花陳酒(ロック)
<今日の本>
「彩雲の峰」高樹のぶ子


posted by pikkumyy at 19:58| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月11日

花のれん

女からは柑橘類の熟れた果実の匂いがした。皮より酸味は穏やかで甘味が程よいさわやかな香りだ。それが宙を漂う花の香りと混ざると、なんとも妖艶な匂いとなって嗅覚を刺激した。
「ただいま」
大声をださないと奥まで届かないくらい広い田舎家だった。彼は家に上がり、女にも自分について来るよう促した。だが彼はその時は初めて女が裸足であることに気付いた。
「そういやお前靴はいてなかったんだ。ちょっと待ってろ手ぬぐい持ってくるから」
しばらくしてハンチは濡れた手ぬぐいを持って玄関に戻ってきた。それで足を拭くよう言ったが女はその手ぬぐいをただ眺めているだけだった。
「しょうがないな。そんじゃ俺が拭いてやる。そこ座れ」
この命令には女も素直に従った。ハンチはまた靴をはいて沓脱に下り、女の足を拭いた。

母親のマチはどこにも見当たらなかったが台所には味噌汁もごはんもできている。おそらくすぐ帰ってくるだろう。とりあえず女を居間に残して手ぬぐいを洗いに洗面所へ向かった。
手ぬぐいを洗っていると手の平に細かいプラスチックのようなものがぱらぱらまとわりついた。水を止めてよくみてみると黄色味がかった透明なウロコだった。
「なんじゃこりゃ。母ちゃん魚でも拭いたかな・・・」
不思議に思いつつも物事にこだわらないハンチはその疑問に蓋をした。

居間に戻るとマチが女の隣に座っていた。マチはハンチを見るなり目をつり上げて突進してきた。そしていきなり彼のの頬を平手を打ちした。
「この恥知らず!なんてことを真昼間から!」
ハンチはなんのことだか全くわからなかった。
「とぼけなさんな。母ちゃんが留守だと思って女連れ込むなんて最低だね!しかもお仏壇のある居間で・・・居間で・・・」
マチの声はわなないていた。ハンチはようやく彼女のいわんとしてることが飲み込めた。
「母ちゃん、違うって。母ちゃんが思ってるようなことしてないよ俺」
「素っ裸の若い男と女見て、誰がそんなこと信じられっかい!」
ハンチは自分が上半身裸であることにようやく気付いた。
「誤解だって。これは彼女が裸だったから俺のを着せてやったんだって。それで」
「そうだよ。あの子は裸さ。なんで裸なんね。え?裸になるには服を脱がにゃなんないだが。早くあのこに服着せろ!それから話は聞く。お前も早く服とってこい!」
「それがさ彼女初めから素っ裸だったんだよ。靴すら履いてなかった」
「はあ?」
「帰ってくる途中土手で泣いてたんだよ。多分襲われたんじゃなかろうか。服はその時持ってかれたのかも。周りに無かったから」
「無かったあ?」
「ああ。だからさ、母ちゃんの服貸してやってよ。俺のじゃあの通り大きすぎるだろ」

ハンチの服ほどではないにしろ、マチの服も女には大きかった。
3人は卓に付いて昼ごはんを食べていた。マチはハンチから事の詳細を聞き、女は本当に誰かに襲われたのだろうと思った。それによく考えればこれまで女友達すら連れてきたことがない息子が、こんな美しい娘を家に連れこめるはずがない。
「あんたえらいめ遭ったなあ。昼食べたらこいつに交番行連れてってもらえ」
普通なら昼飯など食べる前に警察に行くべきだろうがこの親子に世間の常識は通用しない。その日もいつも通りたっぷり時間をかけて昼食を終えた。

昼ご飯の会話でわかったことは彼女の名前がヘビコだということだけだった。
交番に行ってからもヘビコは同じことか繰り返さなかった。警官もとうとう匙を投げた。
「こんなに何度も踏まれた踏まれたって言ってんだから本当に踏まれたんでしょ。服は川で泳いでた時にどこぞの犬がくわえてったんですよきっと」
確かにヘビコは踏まれる前川で泳いだと言っていた。
「でも泣いてたんですよこいつ」
「泣きもしますよ踏まれりゃ。あんた踏まれてみなさいよ。特にピンヒールなんかで踏まれた日にゃ失神しないだけラッキーだったんだって」
ハンチは誰がこんな田舎をピンヒールを履くかと思ったが口に出さなかった。ヘビコが頑なに
踏まれたと言い張るのでハンチは諦め交番を後にした。

夕方近くになっていた。
「なあヘビコ、お前が襲われたんじゃないって言うなら俺用なしだな。帰るか。家まで送る。お前んちどこだ?さっき家族いないって言ってたな。一人暮らしだろ?」
「私に家なんてありません。私を踏んだ人の家に居つく。それがわたし達の決まりです」
さっきから自分を踏んだやつを見つけるだのなんだの女は奇妙なことばかり言っている。
まったく変な女だ。
「それじゃ、お前はそいつを探すんだな。俺はそいつのことなーんもわかんないし。・・・ここで・・・お別れかな」
ヘビコは何も言わずハンチを見つめている。赤ん坊より純真そうなその目で見つめられると、ハンチは自分の顔に血が上るのを感じた。
『お別れ』と口にすることに何か寂しさを感じた。それでも女性に不慣れな彼はどうすることもできなかった。
「じゃあな。ちゃんと帰れよ」
そう言ってヘビコを置いて足早に帰っていった。そんなハンチの後姿をヘビコはいつまで
も見つめ続けていた。

つづく

<今日の食事>
新橋 花のれんより
●京風出し巻き玉子
●ベーコンとトマトのイタリアンサラダ
IMGP1085.JPG
●蛸の唐揚げ
●チーズ入り揚げ餃子
IMGP1087.JPG
●鶏肉の変わり揚げ
IMGP1088.JPG
●長芋豆腐
●穴子と玉子の信田巻き
IMGP1089.JPG
●小龍包
●生絞りレモンサワー
●赤ワイン
 (ローズマウントエステート・シラーズ ・カベルネ
  《オーストラリア》カリテラ《チリ》)
<今日の本>
「天使の卵」村山由佳

posted by pikkumyy at 06:56| Comment(20) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月08日

西安餃子

蛇子・ハンチングマン物語(茸子推理編)

蜜柑の花がほころぶ春の終りだった。ハンチングマン(以下ハンチ)は大学の講義を昼前に終え、駅から家へ帰る途中だった。トレードマークのハンチングを春仕様に変えたのは一ヶ月前。ようやく4月から始めたアルバイトの給料が入った時だった。それまではどんなに暑かろうがケーブルニットで我慢していた。ハンチング無しで外へ出ることはアイデンティティーの喪失にも等しいというのが彼の持論である。
柔らかな春風が蜜柑の花の香りを運んでくるそんな昼下がり、自転車で土手を走って昼ご飯の待っている家に帰れるこの学生の身分が、いつまでも続けばいいとハンチは思っていた。鼻歌でも歌おうかと思ったその時、土手の脇に生えている蜜柑の木の下に髪の長い女の後姿が目についた。普通なら通り過ぎてしまうとこだが、ハンチは女のすぐ後ろで自転車をこぐ足を止めた。女は裸で地べたに座り込み、肩を震わせ泣いているようだった。
普通の男なら女が裸であることにたじろぐだろうが、ハンチは臆せず彼女の肩に手を置いた。
「おい、どうした」
女の肩の震えが止まった。女は顔を下に向けたまま
「踏まれたか仕方ないの。踏まれたから仕方ない。仕方ない。しかたない・・・」
と悲しそうな声で繰り返した。
それが耳に心地よい小川のせせらぎのような声だったので、ハンチは珍しく耳たぶが熱くなるのを感じた。
「おい、踏まれたってなんだ。まさか暴漢か。誰にやられた」
女はゆっくりとハンチの方に顔を向けた。ハンチははっとした。潤んだ瞳は漆黒とも瑠璃ともつかぬ湖底を思わせ、妙にてらてらした光を宿していた。色白の顔にほのかな桜色の頬、唇は朝露をたたえた牡丹の赤だった。ほどよい大きさの目を縁どる睫毛には、マッチが3本は乗りそうだ。ハンチは、それまで彼が目にしたどんな女より彼女を美しいと思った。
「私は私を踏んだ人を蛇の世界に連れていかなければなりません。そうすれば私は蛇に戻れる」
「へび?なんだそりゃ。お前暴漢に襲われて頭おかしくなったんだな。とにかくその格好じゃ道もあるけん。とりあえずこれ着とけ」
ハンチは自分が着ている薄手の長袖シャツを脱いで女に渡した。ハンチは背が高いのでシャツは女の腰をすっぽり包めるほどの丈だった。

ハンチは女を連れて家に帰った。一緒に歩いている時、女はほとんど口を開かなかった。普段は饒舌なハンチも女が自分の質問にほとんど答えてくれないとわかると歌でも唄ってごまかすしかなかった。彼なりのショックを受けているであろう女への気遣いだった。

<今日の食事>
●海老のチリソース
20060208184205.jpg
●一口餃子
JVM00009.jpg
●チンジャオロース
20060208184655.jpg
●海老とトマトの卵炒め
●赤ワイングラス
<今日の本>
「ナイト・ガーデニング」E.L.スワン
posted by pikkumyy at 21:33| Comment(15) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月06日

みかんケーキ

龍のひげ入り太巻きを食べてから早3日が過ぎた。幸いながらおなかも壊していないしヒゲも生えてこない。猪吉さんは龍のひげはなんらかのパワーをもたらすと言っていたけどあれは単なる迷信なのかもしれない。そんなことを考えつつ紅天のドアを開けた。
いつもなら間接照明の柔らかい光が漏れ出してくるのに、中は灯りが消されているようだ。一瞬定休日かと思ったが、よく見ると暗闇に複数の小さな炎が揺らめいていた。しかし次の瞬間炎はは消え、蝋燭の燃え殻の匂いが鼻についたかと思うと大きな拍手とともに照明がついた。

中には雪子さんと猪吉さん、そして客が2人いた。客の一人は蛇子だった。カウンターの中の2人がようやく私に気付き「いらっしゃいませ」と中へ招き入れてくれた。
私は席について蛇子の右隣に座っている客を見た。40代くらいの男性だった。彼の目の前に直径30cmはありそうな大きなオレンジ色のケーキが置かれていた。燃え尽きた色とりどりの蝋燭が立てられている。

猪吉さん「(飲み物を置いて)あちらの男性、今日誕生日なんですよ」
私「ああそれでケーキを」
猪吉さん「ええ。店主特製みかんケーキです。今日たまたま作ってあったようで。私実は甘い ものは苦手なのですが、彼女の作るあのケーキは食べれるんですよ。なんでも特別な甘味料 を使ってるそうで菓子嫌いでも病みつきになる美味さです。デザートとして出されると思う んで是非食べてください」
私「ええ。楽しみにしています。あの、あのかたもここの常連ですか?」
猪吉さん「ええ。よくいらっしゃいます」
  ちらっと見ると男性は燗酒を飲んでいた。
私「ひれ酒ありますか?」
猪吉さん「もちろん作れますよ。ひれ酒専用の酒を常備してますし、天然フグのヒレも用
 意してあります」
私「ではそれを彼に。私から誕生日のお祝いとして」
猪吉さん「(微笑んで)承知しました」

店内にひれを焼く香ばしい匂いがたちこめてきた。猪吉さんがひれ酒を男性に出し、私の方に顔を向けると彼も私を見た。目が合ったので頭を軽く下げて挨拶をした。
男性はひれ酒が入ったカップを持って乾杯する仕草をした。そして笑顔で「ありがとう!」と言ってくれた。その笑顔がとても爽やかだった。こんな雪の夜なのに昼下がりの日向を思い出した。私も笑顔で「おめでとうございます!」とタンブラーを掲げてみせた。彼はおいしそうにひれ酒を飲んでくれた。

彼はその後間もなくして帰って行ったが、帰り際蛇子から何かもらったようだ。後で雪子さんに聞いたところオロチの頭に生えた苔だそうだ。男性が風邪気味だったのであげたらしい。なんでも食後にその苔を飲むと元気100倍、どんな薬や予防接種より効果抜群だそうな。しかし蛇子からの手土産を彼が素直に飲むかどうかは怪しい。それでも雪子さんの作ったみかんケーキがビタミンCたっぷりだったので彼の風邪も良くなるのではないかと思う。
posted by pikkumyy at 21:02| Comment(9) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月03日

五穀家

今日出されたチーズフォンデュはプロセスチーズの味ばかりして、前出されたものより格段に味が落ちていた。キッシュもぼやんとした味でどうもおかしい。
雪子さん、やっぱこの前の蛇子と双子の言ったことで悩んでいるのではないだろうか。

そうこう思案していると目の前に太巻きを乗せた皿が置かれた。
私「あ!今日節分」
雪子さん「私も今日が節分だということすっかり忘れていたんですよ。3日前までは覚えてい     てその日は太巻きを皆さんに出そうと考えていたんです。でも思い出したのがつい     さっき。今日はご飯も炊いていないし太巻きは諦めかけていたんです」
私「え、それじゃこの太巻きは?」
雪子さん「あちらの方の差し入れです」
雪子さんが指し示した方を見てぎょっとした。そこに座っていたのは蛇子だった。いつの
間に来ていたのか・・・。蛇子にしぶしぶ感謝の言葉を述べたが私の方をちらっと見ただ
けでなんの返事もなかった。
私も返事を期待していたわけではなかったので目の前の太巻きに手を伸ばした。

蛇子の差し入れの太巻きをしばらく観察した。彼女はこれをどこで買ったのだろう、いやもしかしたら手作りかもしれない。などなど考えていた。
中身はきゅうり、玉子、しいたけ、かんぴょう???かんぴょうの様な色合いだがなんか違う。もっとごわついてる感じなのだ。
私は思い切って蛇子に尋ねた。
私「あの、このかんぴょうみたいな茶色いのなんですか?」
蛇子「・・・」
雪子さん「あら、本当。これかんぴょうじゃないみたいね」
蛇子「・・・リュウノヒゲ」
私「は?」
蛇子「リュウノヒゲ」
雪子さん「あら、これ龍のひげなんですか?あらまあ」
蛇子はそれ以上何も言わずまた食事を始めた。
私「(雪子さんに)あの、龍のひげってなんですか?そういう食べ物があるんですか?」
雪子さん「龍のひげは龍のひげですよ。食用にもなるとは聞いてたけど。幻の食材ですからね
     ねえ。私も始めて見ました」
私が眉間にしわを寄せていると、それまで私達のやりとりをだまって見ていた猪吉さん   が言った。
猪吉「龍のひげを食べると不思議な力が身につくというけれどいったいなんだろうね」
雪子さん「その話は初耳だわ。何かしらね。ま、食べればわかるわ。お客さん、今年は南南東
     ですよ。あっちの方ですわ。さ、どうぞ召し上がれ」
得体の知れないものを口に入れるのは嫌だったが今更そうとも言えず、雪子さんの示した方角を向いて太巻きを食べきった。

龍のひげの味はよくわからなかった。歯ごたえはするめイカのようだったので食べるのがしんどかった。今のとこ体に変調はないようだ。

<今日の食事>
銀座 五穀家より
●チーズフォンデュ
●焼きいわしのプロヴァンス風
IMGP1079.JPG
●シェフ自慢の焼き立てキッシュ
●小やりイカのガーリックロースト
IMGP1077.JPG
●とうふとトマトのサラダ
IMGP1080.JPG
●生絞りレモンサワー
●赤ワイン(シャトーカップブラン・ベルジュラック
      サンタ・ヘレナ・ジグローデ・オロC.S.)
<今日の本>
「シェエラザード」浅田次郎

posted by pikkumyy at 21:27| Comment(24) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月01日

アンコールワット

桂花陳酒を飲みながらこの前蛇子が言っていた「オウサマノミミハロバノミミ」について考えていた。
確かあの物語はロバの耳を持った王様の召使かなんかが、そのことを言いたくてたまらず穴に向かって大声で「王様の耳はロバの耳」と叫んだのだ。それがこだましてあらゆる人秘密が漏れるという話だった。

もしや蛇子は雪子さんの秘密を知っていて雪子さんを脅しているのではないだろうか?あの時あんな言葉を口走ったのはそろそろ暴露してしまうぞと暗に雪子さんにプレッシャーを与えていたのかもしれない。
蛇子はいったい何者なのだろう。私が踏んで人間の姿に化けた蛇ではないのだろうか。
そんな女の発言がなぜ雪子さんをあそこまで狼狽させたのか不思議だ。やっぱ何かあるはずだ。

それにあの双子。彼らの発言にも雪子さんは動揺していた。彼らは雪子さんと猪吉さんを双子だと言った。猪吉さんの笑って冗談にふしても雪子さんの顔は真っ青だった。
あの時は気付かなかったけど、もしかしたら猪吉さんもあの発言に対しては笑ってごまかすしかなかったのかもしれない、
とするとあの発言の持つ意味はなんだろう。

確か「ラビット病」ではあの双子はロバートとゆりのことを双子と間違えたのだ。その時「日本人と黒人の双子なんて珍しい」とかそのような発言をしていた。なんともとんちんかんな双子だ。でも、あの言葉はあの小説において彼らの関係をより深める重要なキーワードでもあった・・・。
それに動揺し青ざめた雪子さん。
同様を隠すため笑うしかなかった猪吉さん。
2人が双子だとは考えにくい。となると蛇子同様あの双子も暗喩を用いたのだろうか。
その裏に隠された本当の意味はなんだろうか。

<今日の食事>
代々木アンコールワットより
●生春巻
●鳥肉辛サラダ
IMGP1071.JPG
●小春巻とカンボジア風さつま揚げ(レモングラスの風味でちょい辛)
IMGP1072.JPG
●カンボジア風大根もち
IMGP1074.JPG
●蟹爪と春雨の火鍋焼き
IMGP1073.JPG
●クティウ(海老と鶏肉のフォー)
IMGP1076.JPG
●桂花陳酒(ソーダ割り)
●赤ワインミニボトル(カリフォルニア)
<今日の本>
「塩狩峠」三浦綾子



posted by pikkumyy at 21:19| Comment(10) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月30日

PAZOO

昨晩紅天へ行ってノートを開いてみると天狗男さんからは短い返信がきていた。
「茸子様

 旅へ出ます。
 帰りはいつになるかわかりません。
 それでもまた戻ってきます。
 茸子さんと紅天でお会いすることを楽しみにしています。

 天狗男」

旅に出るというのは本当だろうか。
なんとなく彼は紅天の秘密にせまるのを避けている気がする。
まあまた帰ると言ってることだし気長に待とうと思う。

<今日の食事>
PAZOOより
●石田さんちのトマトサラダPAZOO風
IMGP1062.JPG
●自家製パンチェッタのフリッタータ(ベーコン入りオムレツ)
IMGP1063.JPG
●ペスカトーラ(海の幸のピザ)
IMGP1064.JPG
●ハウスワイン赤(デキャンタ)
<今日の本>
「熊谷きよ子最後の旅」ねじめ正一


posted by pikkumyy at 20:48| Comment(13) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。