2006年02月22日

AROI

今日は紅天に猪吉さんの姿がなかった。
一杯目のレモンサワーを出してくれたのも雪子さんだった。
私は不思議に思って雪子さんに猪吉さんはどうしたのか訊いてみた。
雪子さん「福岡に行ってるんですよ彼」
私「福岡?旅行ですか?」
雪子さん「まあそんなとこ。(くすりと笑って)なんでも五所八幡宮という神社にムーミンそっくりのこぶがついた木があるそうで、それを見に行ったんです」
私「へー。見てみたい。五所八幡宮ってどこにあるんです?博多ですか?」
雪子さん「いいえ。古賀市って玄界灘に程近い所だそうです」
私「へー。でもなんでまたムーミンのこぶをわざわざ見に行ったんですか?ムーミンが好きなんですかね」
雪子さん「うーんなんかね、ムーミンも私達も似たようなもなんだから、私達もいつかそういうこぶや人面痣になって世の中に現れるかもしれないって言ってましたよ。その前にどんなものか見てくるんですって」
私「ムーミンと似たようなもの?」
雪子さんは意味ありげに笑顔を作ってから再びワイングラスを磨き始めた。
私から一個席を空けて座っていた艶っぽい女性がいきなり口を開いた。
「福岡なら博多にも寄るわよね?」
雪子さん「ええ。飛行機ですし」
女性「うちの旦那の飲み相手にでもなってくれないかしらねぇ。一晩でもいいから。頼んどけばよかったわぁ」
女性は気だるそうに顔の前で揺すっている焼酎グラスを見つめながら言った。
・・・あれ、もしかしてこの人・・・。

<今日の食事>
新宿 AROIより
●海鮮おこわ
●蒸し鶏の胡麻ダレサラダ
IMGP1107.JPG
●ハタハタ唐揚げ チリマヨソース
IMGP1109.JPG
●サムギョプサル
●葱ワンタンスープ
●茸とキムチの炊き込み御飯
IMGP1110.JPG
●生レモンサワー
●赤ワイン(ラシャス デュパプ コートデュローヌ)
<今日の本>
「分身」東野圭吾

posted by pikkumyy at 21:23| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月20日

PAZOO 2

その晩からヘビコはハンチの家で暮らすようになった。ハンチの家族はマチをはじめ全員大雑把な性格のためヘビコを家においておくことに反対する者はいなかった。
ハンチの兄が家を出る前に使っていた8畳間がヘビコにあてがわれた。
最初こそ部屋に閉じこもって何か一人ぶつぶつとつぶやいていたが、一週間もすると家事を手伝うようになった。どこで覚えたか料理は長年主婦をやっているマチをしのぐ腕前で、得意料理は餃子、唐揚、ハンバーグ、肉まん、酢豚、、回鍋肉、スコッチエッグ、シシカバブ、豚肉の生姜焼き、豚カツ、牛丼とどれも肉料理だった。
ヘビコの料理の腕前を知ったマチは彼女を夕食係りに任命したが、肉料理ばかりが続くのに気付き、それからは朝食と昼食に野菜料理と魚料理を作るよう心がけなくてはならなかった。それでもヘビコの料理は全てプロ級だったので誰も文句を言うものはいなかった。

その晩も皆でヘビコの料理に舌鼓を打っていた。ハンチはアルバイトで帰りが遅くなり、皆が食事を始めて間もなくして帰ってきた。ハンチは居間に入りちゃぶ台に並べられた料理を見て眼を輝かせた。
「うおー今日もうまそうだな。唐揚大好物!」
「熱いうちにいただきなさい。うまいよ今日の唐揚も。なんだかいつもの肉と違うようだけど、これ本当に鶏の唐揚かい?」
ハンチは座布団に座るとすぐにから揚げに手を伸ばし口に放り込んだ。
彼が「うん、うまい!」と感嘆の声をあげたのとヘビコが「蛙の唐揚です」と返答したのはほぼ同時だった。
一瞬前は満面の笑みをたたえていたハンチの目が点になり、口を半開きにしたまま咀嚼するのをやめた。それまで笑顔だったマチも、
「あんた・・・蛙って・・・」
「蛙の唐揚が一番好きです」
「いやそうじゃなくて、私食用蛙なんて買った覚えないよ・・・」
「そこの川原で捕まえました。いっぱいいます。小さいのばかりだから大きいの見つける
の大変でしたが、5匹捕まえました。こんな大きいの」
ヘビコは両手ででソフトボールほどの大きさの円を作ってみせた。

<今日の料理>
PAZOOより
○シェフの気まぐれサラダ(オリーブオイ&ヴィネガー)
IMGP1097.JPG
○パルメザンチーズのフリッタータ
IMGP1098.JPG
○生ハムのピザ
IMGP1099.JPG
○あさりとバジルのスパゲティ
○森のきのこ達のあつあつマリネ
○グラス赤ワイン
<今日の本>
「優駿」宮本輝
posted by pikkumyy at 20:04| Comment(3) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月17日

京都ぎをんおいしんぼ

蛇子・ハンチ物語(つづき)

ハンチが帰るとマチはヘビコのことをあれこれ訊いてきた。ハンチは彼女の質問を適当に
交わし自分の部屋へ行った。畳に横になり天井を見ていると胸のむかつきを覚えた。目を
閉じていても部屋が徐々に暗くなっていくのがわかる。部屋の暗さが増すにつれ、瞼裏
に浮かぶヘビコの姿が鮮明になっていく。
その幻影に神経を集中させていると頭の片隅で何かがざわめくような気がした。しばらく
その感覚が何であるかを考えていた。どのくらいそうしていただろうか。ハンチははっ
と目を見開いて起き上がった。部屋の灯りをつけ、がらくたばかりが収まっている押入れ
をがさごそ探り始めた。
「あった!」探りあてたのは古びたアルバムだった。中学校のものだ。久万中学校となっている。ハンチは自分のクラスのページを開き、一人一人の顔写真を指でなぞっていった。そして一人の少女の写真で指を止めた。「蛇尾・・・文子!」写真は少女時代のヘビコのものだった。

どうして彼女の姿を見てかつてのクラスメートであったことを思い出さなかったのだろう。
ハンチは走りながら思った。彼女にしてもそうだ。10年という歳月はそれほどまでにお互いの容姿を変えてしまったのだろうか。確かに彼女は美しく成長ていた。そして自分もかつてのもじゃもじゃ頭からハンチング帽がトレードマークに変わった。そして彼女は学年の途中で転向してしまった。しかしそれだけで、かつて隣同士になったクラスメートを思い出せなかった
自分が信じられない。

ハンチが予想した通りヘビコはそこにいた。道の脇で膝をかかえ、頭をうずめていた。道は暗かったが彼にはそれがヘビコだとわかった。
「お前、何やってんだよ」
ヘビコの目の前に立ってそう言った。彼女はゆっくり顔を上げた。
「早く帰らないとまたひどいめ遭うぞ!」
しばらく沈黙が続きヘビコが口を開いた。
「私は。帰れません。この姿では帰れません。だから私を踏んだ人を見つけなくてはいけないんです。・・・でも・・・」
ハンチはしゃがんでヘビコと目線を同じくした。暗くてはっきりしなかった彼女の顔が少
しはっきりとした。
「文子・・・」
ヘビコは目に涙をためてきょとんとしていた。
「ふみこ・・・?」
「お前文子だろ?蛇尾文子だろ?俺のこと覚えてない?中学校の時隣の席だった」
「私は文子ではありません。私はヘビコです」
この頑なな態度、本当に自分は間違っているのだろうかとハンチはひるんだ。
その時彼はあることを思い出し髪で隠れた彼女の右耳たぶを探り当てた。目を凝らすとそ
こに真っ黒で小さなホクロが見えた。
「やっぱお前文子だよ。お前よくそのホクロでからかわれてた。ピアスみたいだって」
ヘビコは自分の右耳に指をあてた。
「ホクロがあるなんて知りませんでした」
ハンチは頭が混乱してきた。もしかしたらこいつは乱暴されたショックで記憶をなくして
いるのかもしれない。きっとそうに違いない。
「とりあえずうちに来いよ。帰るとこないんだろ?」
ヘビコはこっくりうなずいた。

<今日の料理>
●のれそれ
IMGP1104.JPG
●石焼盛り合わせ(豚トロ、肩ロース、椎茸、獅子唐等)
IMGP1102.JPG
●湯葉豆腐
●おいしんぼサラダ
●麩ー麩ー京風西京グラタン
IMGP1105.JPG
●鯖寿司
IMGP1106.JPG
●赤ワイングラス×2
<今日の本>
「あたしの一生 猫のダルシーの物語」 ディー・レディ

posted by pikkumyy at 22:25| Comment(16) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月14日

豆花

紅天の扉を開けるとふんわりと甘くほろ苦い香りが一日の疲れを一瞬で吹き消してくれた。
ヴァレンタインデイということで雪子さんが手作りチョコレートを作っていたのだ。カウンターには蛇子、その他2人の客が腰かけていた。私がいつもの場所に座ると残りの席は蛇子の隣1席とになった。

最近席につくと蛇子を観察するのが癖になっている。なんせ蛇子とハンチングマン推理物語を書いている身なので。
今日も猪吉さんから生絞りレモンサワーをいただいてから早速観察開始。飲み物はやはりモッキンバード。しかし今日はマドラーが細長いチョコレートスティックだった。なかなか気がきいている猪木さん。

読んでいる本は「蛇よさらば」。聞いたことない本である。彼女が読んでいる本はいつもそうだ。お品書きにも書いていないところを見ると裏メニューか何かのようだ。私が確認できたこれまでの本は「華麗なるギャッツヘビー」「我輩は蛇である」「6月の蛇とり紙」「蛇と共に去りぬ」「三蛇史」「冷静と情熱の蛇」「「赤毛の蛇」「アリババと40人の蛇族」「ノルウェイの蛇」などである。

そしてここ1、2週間の間で彼女の読書スピードが普通の人の100倍ほど早いことがわかった。ほとんどの本をものの5分で読み終わってしまうのだ。本当に物語を全部読みきっているのかはわからないが、いつも5分くらいで次の本にうつるのである。なので彼女はいつも数冊の本をまとめて注文する。

今日もわきに6冊の本を積み上げて「蛇よさらば」を読んでいた。積み上げられていた本は以下のとおり→「蛇のために鐘はなる」「蛇と罰」「蛇の器」「若き飢える蛇の悩み」「マイ・フェア・ヘビ」「80日間世界の蛇を一蹴」
雪子さんが手作りチョコレートを皿にのせて蛇子の前においた。蛇子はそれには目もくれずひたすら読んでいる。

そのうち私の前にもチョコレートが出された。
私「おいしそうですね。ありがとうございます」
雪子さん「みかんのブランデーが入ってるんですよ」
一口頬ばると少し粘りのあるみかんのブランデーが口の中に広がった。ブランデーの甘さとビターチョコの苦さが絶妙で、しばしその味の余韻にひたっていた。自然に目が閉じ全ての感覚を口中のチョコレートに集中させていたせいだろうか、紅天に新たな客が入ってきたのに気付かなかった。

目を開けると蛇子の横にハンチングマンが座っていた。いつの間に!?その素早さ忍のごとく。
彼は蛇子に出されたチョコレートをつまもうとしていた。しかしそれを見た雪子さんすかず「あ、ハンちゃん!」と言って彼の手をぴしゃりと叩いた。
雪子さん「それは彼女用。あんたはこっち」
ハンチングマン「あ、そうかこいつ用ってことは・・・」
雪子さん「蜜柑のはっぱについてた芋虫を半年間ブランデーに漬け込んだ芋虫酒入り」
ハンチングマン「おっとやばいやばい。そいつぁー食えん」
そして自分に出された皿からチョコレートをほおばった。

しばらくして蛇子が傍らに置いていたバッグから紙袋を取り出しハンチングマンに渡した。
ハンチングマン「サンキュー」
中身を取り出すときちんと包装された正方形の小箱。チョコレートに違いない。
ハンチングマンはばりばりと紙を破り箱のふたを開けた。
ハンチングマン「おおうまそうじゃんチョコレート!毎年ありがとな」
私はお手洗いに行くふりをしてちらっとその箱の中をのぞいてみた。拳くらいの大きさのとぐろを巻いた蛇型のチョコレートだった。しかもブラックチョコとホワイトチョコのシマシマ。よく見ると蛇の目がハート型だった。蛇子がちょこっとかわいらしく思えた。

<今日の食事>
池袋 豆花より
●薬膳豆腐
●きまぐれシーフードアジアンサラダ
IMGP1093.JPG
●茄子のガーリック炒め
IMGP1094.JPG
●ブリトロの竜田揚げ
IMGP1095.JPG
●タコス風豆腐のチリソース
IMGP1096.JPG
●生絞りレモンサワー
●ハウスワイン
●桂花陳酒(ロック)
<今日の本>
「彩雲の峰」高樹のぶ子


posted by pikkumyy at 19:58| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月11日

花のれん

女からは柑橘類の熟れた果実の匂いがした。皮より酸味は穏やかで甘味が程よいさわやかな香りだ。それが宙を漂う花の香りと混ざると、なんとも妖艶な匂いとなって嗅覚を刺激した。
「ただいま」
大声をださないと奥まで届かないくらい広い田舎家だった。彼は家に上がり、女にも自分について来るよう促した。だが彼はその時は初めて女が裸足であることに気付いた。
「そういやお前靴はいてなかったんだ。ちょっと待ってろ手ぬぐい持ってくるから」
しばらくしてハンチは濡れた手ぬぐいを持って玄関に戻ってきた。それで足を拭くよう言ったが女はその手ぬぐいをただ眺めているだけだった。
「しょうがないな。そんじゃ俺が拭いてやる。そこ座れ」
この命令には女も素直に従った。ハンチはまた靴をはいて沓脱に下り、女の足を拭いた。

母親のマチはどこにも見当たらなかったが台所には味噌汁もごはんもできている。おそらくすぐ帰ってくるだろう。とりあえず女を居間に残して手ぬぐいを洗いに洗面所へ向かった。
手ぬぐいを洗っていると手の平に細かいプラスチックのようなものがぱらぱらまとわりついた。水を止めてよくみてみると黄色味がかった透明なウロコだった。
「なんじゃこりゃ。母ちゃん魚でも拭いたかな・・・」
不思議に思いつつも物事にこだわらないハンチはその疑問に蓋をした。

居間に戻るとマチが女の隣に座っていた。マチはハンチを見るなり目をつり上げて突進してきた。そしていきなり彼のの頬を平手を打ちした。
「この恥知らず!なんてことを真昼間から!」
ハンチはなんのことだか全くわからなかった。
「とぼけなさんな。母ちゃんが留守だと思って女連れ込むなんて最低だね!しかもお仏壇のある居間で・・・居間で・・・」
マチの声はわなないていた。ハンチはようやく彼女のいわんとしてることが飲み込めた。
「母ちゃん、違うって。母ちゃんが思ってるようなことしてないよ俺」
「素っ裸の若い男と女見て、誰がそんなこと信じられっかい!」
ハンチは自分が上半身裸であることにようやく気付いた。
「誤解だって。これは彼女が裸だったから俺のを着せてやったんだって。それで」
「そうだよ。あの子は裸さ。なんで裸なんね。え?裸になるには服を脱がにゃなんないだが。早くあのこに服着せろ!それから話は聞く。お前も早く服とってこい!」
「それがさ彼女初めから素っ裸だったんだよ。靴すら履いてなかった」
「はあ?」
「帰ってくる途中土手で泣いてたんだよ。多分襲われたんじゃなかろうか。服はその時持ってかれたのかも。周りに無かったから」
「無かったあ?」
「ああ。だからさ、母ちゃんの服貸してやってよ。俺のじゃあの通り大きすぎるだろ」

ハンチの服ほどではないにしろ、マチの服も女には大きかった。
3人は卓に付いて昼ごはんを食べていた。マチはハンチから事の詳細を聞き、女は本当に誰かに襲われたのだろうと思った。それによく考えればこれまで女友達すら連れてきたことがない息子が、こんな美しい娘を家に連れこめるはずがない。
「あんたえらいめ遭ったなあ。昼食べたらこいつに交番行連れてってもらえ」
普通なら昼飯など食べる前に警察に行くべきだろうがこの親子に世間の常識は通用しない。その日もいつも通りたっぷり時間をかけて昼食を終えた。

昼ご飯の会話でわかったことは彼女の名前がヘビコだということだけだった。
交番に行ってからもヘビコは同じことか繰り返さなかった。警官もとうとう匙を投げた。
「こんなに何度も踏まれた踏まれたって言ってんだから本当に踏まれたんでしょ。服は川で泳いでた時にどこぞの犬がくわえてったんですよきっと」
確かにヘビコは踏まれる前川で泳いだと言っていた。
「でも泣いてたんですよこいつ」
「泣きもしますよ踏まれりゃ。あんた踏まれてみなさいよ。特にピンヒールなんかで踏まれた日にゃ失神しないだけラッキーだったんだって」
ハンチは誰がこんな田舎をピンヒールを履くかと思ったが口に出さなかった。ヘビコが頑なに
踏まれたと言い張るのでハンチは諦め交番を後にした。

夕方近くになっていた。
「なあヘビコ、お前が襲われたんじゃないって言うなら俺用なしだな。帰るか。家まで送る。お前んちどこだ?さっき家族いないって言ってたな。一人暮らしだろ?」
「私に家なんてありません。私を踏んだ人の家に居つく。それがわたし達の決まりです」
さっきから自分を踏んだやつを見つけるだのなんだの女は奇妙なことばかり言っている。
まったく変な女だ。
「それじゃ、お前はそいつを探すんだな。俺はそいつのことなーんもわかんないし。・・・ここで・・・お別れかな」
ヘビコは何も言わずハンチを見つめている。赤ん坊より純真そうなその目で見つめられると、ハンチは自分の顔に血が上るのを感じた。
『お別れ』と口にすることに何か寂しさを感じた。それでも女性に不慣れな彼はどうすることもできなかった。
「じゃあな。ちゃんと帰れよ」
そう言ってヘビコを置いて足早に帰っていった。そんなハンチの後姿をヘビコはいつまで
も見つめ続けていた。

つづく

<今日の食事>
新橋 花のれんより
●京風出し巻き玉子
●ベーコンとトマトのイタリアンサラダ
IMGP1085.JPG
●蛸の唐揚げ
●チーズ入り揚げ餃子
IMGP1087.JPG
●鶏肉の変わり揚げ
IMGP1088.JPG
●長芋豆腐
●穴子と玉子の信田巻き
IMGP1089.JPG
●小龍包
●生絞りレモンサワー
●赤ワイン
 (ローズマウントエステート・シラーズ ・カベルネ
  《オーストラリア》カリテラ《チリ》)
<今日の本>
「天使の卵」村山由佳

posted by pikkumyy at 06:56| Comment(20) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月08日

西安餃子

蛇子・ハンチングマン物語(茸子推理編)

蜜柑の花がほころぶ春の終りだった。ハンチングマン(以下ハンチ)は大学の講義を昼前に終え、駅から家へ帰る途中だった。トレードマークのハンチングを春仕様に変えたのは一ヶ月前。ようやく4月から始めたアルバイトの給料が入った時だった。それまではどんなに暑かろうがケーブルニットで我慢していた。ハンチング無しで外へ出ることはアイデンティティーの喪失にも等しいというのが彼の持論である。
柔らかな春風が蜜柑の花の香りを運んでくるそんな昼下がり、自転車で土手を走って昼ご飯の待っている家に帰れるこの学生の身分が、いつまでも続けばいいとハンチは思っていた。鼻歌でも歌おうかと思ったその時、土手の脇に生えている蜜柑の木の下に髪の長い女の後姿が目についた。普通なら通り過ぎてしまうとこだが、ハンチは女のすぐ後ろで自転車をこぐ足を止めた。女は裸で地べたに座り込み、肩を震わせ泣いているようだった。
普通の男なら女が裸であることにたじろぐだろうが、ハンチは臆せず彼女の肩に手を置いた。
「おい、どうした」
女の肩の震えが止まった。女は顔を下に向けたまま
「踏まれたか仕方ないの。踏まれたから仕方ない。仕方ない。しかたない・・・」
と悲しそうな声で繰り返した。
それが耳に心地よい小川のせせらぎのような声だったので、ハンチは珍しく耳たぶが熱くなるのを感じた。
「おい、踏まれたってなんだ。まさか暴漢か。誰にやられた」
女はゆっくりとハンチの方に顔を向けた。ハンチははっとした。潤んだ瞳は漆黒とも瑠璃ともつかぬ湖底を思わせ、妙にてらてらした光を宿していた。色白の顔にほのかな桜色の頬、唇は朝露をたたえた牡丹の赤だった。ほどよい大きさの目を縁どる睫毛には、マッチが3本は乗りそうだ。ハンチは、それまで彼が目にしたどんな女より彼女を美しいと思った。
「私は私を踏んだ人を蛇の世界に連れていかなければなりません。そうすれば私は蛇に戻れる」
「へび?なんだそりゃ。お前暴漢に襲われて頭おかしくなったんだな。とにかくその格好じゃ道もあるけん。とりあえずこれ着とけ」
ハンチは自分が着ている薄手の長袖シャツを脱いで女に渡した。ハンチは背が高いのでシャツは女の腰をすっぽり包めるほどの丈だった。

ハンチは女を連れて家に帰った。一緒に歩いている時、女はほとんど口を開かなかった。普段は饒舌なハンチも女が自分の質問にほとんど答えてくれないとわかると歌でも唄ってごまかすしかなかった。彼なりのショックを受けているであろう女への気遣いだった。

<今日の食事>
●海老のチリソース
20060208184205.jpg
●一口餃子
JVM00009.jpg
●チンジャオロース
20060208184655.jpg
●海老とトマトの卵炒め
●赤ワイングラス
<今日の本>
「ナイト・ガーデニング」E.L.スワン
posted by pikkumyy at 21:33| Comment(15) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月06日

みかんケーキ

龍のひげ入り太巻きを食べてから早3日が過ぎた。幸いながらおなかも壊していないしヒゲも生えてこない。猪吉さんは龍のひげはなんらかのパワーをもたらすと言っていたけどあれは単なる迷信なのかもしれない。そんなことを考えつつ紅天のドアを開けた。
いつもなら間接照明の柔らかい光が漏れ出してくるのに、中は灯りが消されているようだ。一瞬定休日かと思ったが、よく見ると暗闇に複数の小さな炎が揺らめいていた。しかし次の瞬間炎はは消え、蝋燭の燃え殻の匂いが鼻についたかと思うと大きな拍手とともに照明がついた。

中には雪子さんと猪吉さん、そして客が2人いた。客の一人は蛇子だった。カウンターの中の2人がようやく私に気付き「いらっしゃいませ」と中へ招き入れてくれた。
私は席について蛇子の右隣に座っている客を見た。40代くらいの男性だった。彼の目の前に直径30cmはありそうな大きなオレンジ色のケーキが置かれていた。燃え尽きた色とりどりの蝋燭が立てられている。

猪吉さん「(飲み物を置いて)あちらの男性、今日誕生日なんですよ」
私「ああそれでケーキを」
猪吉さん「ええ。店主特製みかんケーキです。今日たまたま作ってあったようで。私実は甘い ものは苦手なのですが、彼女の作るあのケーキは食べれるんですよ。なんでも特別な甘味料 を使ってるそうで菓子嫌いでも病みつきになる美味さです。デザートとして出されると思う んで是非食べてください」
私「ええ。楽しみにしています。あの、あのかたもここの常連ですか?」
猪吉さん「ええ。よくいらっしゃいます」
  ちらっと見ると男性は燗酒を飲んでいた。
私「ひれ酒ありますか?」
猪吉さん「もちろん作れますよ。ひれ酒専用の酒を常備してますし、天然フグのヒレも用
 意してあります」
私「ではそれを彼に。私から誕生日のお祝いとして」
猪吉さん「(微笑んで)承知しました」

店内にひれを焼く香ばしい匂いがたちこめてきた。猪吉さんがひれ酒を男性に出し、私の方に顔を向けると彼も私を見た。目が合ったので頭を軽く下げて挨拶をした。
男性はひれ酒が入ったカップを持って乾杯する仕草をした。そして笑顔で「ありがとう!」と言ってくれた。その笑顔がとても爽やかだった。こんな雪の夜なのに昼下がりの日向を思い出した。私も笑顔で「おめでとうございます!」とタンブラーを掲げてみせた。彼はおいしそうにひれ酒を飲んでくれた。

彼はその後間もなくして帰って行ったが、帰り際蛇子から何かもらったようだ。後で雪子さんに聞いたところオロチの頭に生えた苔だそうだ。男性が風邪気味だったのであげたらしい。なんでも食後にその苔を飲むと元気100倍、どんな薬や予防接種より効果抜群だそうな。しかし蛇子からの手土産を彼が素直に飲むかどうかは怪しい。それでも雪子さんの作ったみかんケーキがビタミンCたっぷりだったので彼の風邪も良くなるのではないかと思う。
posted by pikkumyy at 21:02| Comment(9) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月03日

五穀家

今日出されたチーズフォンデュはプロセスチーズの味ばかりして、前出されたものより格段に味が落ちていた。キッシュもぼやんとした味でどうもおかしい。
雪子さん、やっぱこの前の蛇子と双子の言ったことで悩んでいるのではないだろうか。

そうこう思案していると目の前に太巻きを乗せた皿が置かれた。
私「あ!今日節分」
雪子さん「私も今日が節分だということすっかり忘れていたんですよ。3日前までは覚えてい     てその日は太巻きを皆さんに出そうと考えていたんです。でも思い出したのがつい     さっき。今日はご飯も炊いていないし太巻きは諦めかけていたんです」
私「え、それじゃこの太巻きは?」
雪子さん「あちらの方の差し入れです」
雪子さんが指し示した方を見てぎょっとした。そこに座っていたのは蛇子だった。いつの
間に来ていたのか・・・。蛇子にしぶしぶ感謝の言葉を述べたが私の方をちらっと見ただ
けでなんの返事もなかった。
私も返事を期待していたわけではなかったので目の前の太巻きに手を伸ばした。

蛇子の差し入れの太巻きをしばらく観察した。彼女はこれをどこで買ったのだろう、いやもしかしたら手作りかもしれない。などなど考えていた。
中身はきゅうり、玉子、しいたけ、かんぴょう???かんぴょうの様な色合いだがなんか違う。もっとごわついてる感じなのだ。
私は思い切って蛇子に尋ねた。
私「あの、このかんぴょうみたいな茶色いのなんですか?」
蛇子「・・・」
雪子さん「あら、本当。これかんぴょうじゃないみたいね」
蛇子「・・・リュウノヒゲ」
私「は?」
蛇子「リュウノヒゲ」
雪子さん「あら、これ龍のひげなんですか?あらまあ」
蛇子はそれ以上何も言わずまた食事を始めた。
私「(雪子さんに)あの、龍のひげってなんですか?そういう食べ物があるんですか?」
雪子さん「龍のひげは龍のひげですよ。食用にもなるとは聞いてたけど。幻の食材ですからね
     ねえ。私も始めて見ました」
私が眉間にしわを寄せていると、それまで私達のやりとりをだまって見ていた猪吉さん   が言った。
猪吉「龍のひげを食べると不思議な力が身につくというけれどいったいなんだろうね」
雪子さん「その話は初耳だわ。何かしらね。ま、食べればわかるわ。お客さん、今年は南南東
     ですよ。あっちの方ですわ。さ、どうぞ召し上がれ」
得体の知れないものを口に入れるのは嫌だったが今更そうとも言えず、雪子さんの示した方角を向いて太巻きを食べきった。

龍のひげの味はよくわからなかった。歯ごたえはするめイカのようだったので食べるのがしんどかった。今のとこ体に変調はないようだ。

<今日の食事>
銀座 五穀家より
●チーズフォンデュ
●焼きいわしのプロヴァンス風
IMGP1079.JPG
●シェフ自慢の焼き立てキッシュ
●小やりイカのガーリックロースト
IMGP1077.JPG
●とうふとトマトのサラダ
IMGP1080.JPG
●生絞りレモンサワー
●赤ワイン(シャトーカップブラン・ベルジュラック
      サンタ・ヘレナ・ジグローデ・オロC.S.)
<今日の本>
「シェエラザード」浅田次郎

posted by pikkumyy at 21:27| Comment(24) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年02月01日

アンコールワット

桂花陳酒を飲みながらこの前蛇子が言っていた「オウサマノミミハロバノミミ」について考えていた。
確かあの物語はロバの耳を持った王様の召使かなんかが、そのことを言いたくてたまらず穴に向かって大声で「王様の耳はロバの耳」と叫んだのだ。それがこだましてあらゆる人秘密が漏れるという話だった。

もしや蛇子は雪子さんの秘密を知っていて雪子さんを脅しているのではないだろうか?あの時あんな言葉を口走ったのはそろそろ暴露してしまうぞと暗に雪子さんにプレッシャーを与えていたのかもしれない。
蛇子はいったい何者なのだろう。私が踏んで人間の姿に化けた蛇ではないのだろうか。
そんな女の発言がなぜ雪子さんをあそこまで狼狽させたのか不思議だ。やっぱ何かあるはずだ。

それにあの双子。彼らの発言にも雪子さんは動揺していた。彼らは雪子さんと猪吉さんを双子だと言った。猪吉さんの笑って冗談にふしても雪子さんの顔は真っ青だった。
あの時は気付かなかったけど、もしかしたら猪吉さんもあの発言に対しては笑ってごまかすしかなかったのかもしれない、
とするとあの発言の持つ意味はなんだろう。

確か「ラビット病」ではあの双子はロバートとゆりのことを双子と間違えたのだ。その時「日本人と黒人の双子なんて珍しい」とかそのような発言をしていた。なんともとんちんかんな双子だ。でも、あの言葉はあの小説において彼らの関係をより深める重要なキーワードでもあった・・・。
それに動揺し青ざめた雪子さん。
同様を隠すため笑うしかなかった猪吉さん。
2人が双子だとは考えにくい。となると蛇子同様あの双子も暗喩を用いたのだろうか。
その裏に隠された本当の意味はなんだろうか。

<今日の食事>
代々木アンコールワットより
●生春巻
●鳥肉辛サラダ
IMGP1071.JPG
●小春巻とカンボジア風さつま揚げ(レモングラスの風味でちょい辛)
IMGP1072.JPG
●カンボジア風大根もち
IMGP1074.JPG
●蟹爪と春雨の火鍋焼き
IMGP1073.JPG
●クティウ(海老と鶏肉のフォー)
IMGP1076.JPG
●桂花陳酒(ソーダ割り)
●赤ワインミニボトル(カリフォルニア)
<今日の本>
「塩狩峠」三浦綾子



posted by pikkumyy at 21:19| Comment(10) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月30日

PAZOO

昨晩紅天へ行ってノートを開いてみると天狗男さんからは短い返信がきていた。
「茸子様

 旅へ出ます。
 帰りはいつになるかわかりません。
 それでもまた戻ってきます。
 茸子さんと紅天でお会いすることを楽しみにしています。

 天狗男」

旅に出るというのは本当だろうか。
なんとなく彼は紅天の秘密にせまるのを避けている気がする。
まあまた帰ると言ってることだし気長に待とうと思う。

<今日の食事>
PAZOOより
●石田さんちのトマトサラダPAZOO風
IMGP1062.JPG
●自家製パンチェッタのフリッタータ(ベーコン入りオムレツ)
IMGP1063.JPG
●ペスカトーラ(海の幸のピザ)
IMGP1064.JPG
●ハウスワイン赤(デキャンタ)
<今日の本>
「熊谷きよ子最後の旅」ねじめ正一


posted by pikkumyy at 20:48| Comment(13) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月29日

つづき

蛇子のつぶやきはまるで呪文のようだった。
「ロバノミミロバノミミロバノミミ・・・」
蛇子はひたすら繰り返す。
と、今度は雪子さんに視線を移し同じことをつぶやき始めた。
雪子さんはゆっくり顔をあげしばらく蛇子と見つめ合っていた。
雪子さんの表情が曇った。それは怪訝というよりむしろ怯えに近い気がした。あんな表情の雪子さんを始めて見た。

雪子さんと蛇子と私の間に不穏な空気が流れ始めていた。とその時店のドアが開き、新しい客が入ってきた。私達はその場の空気から逃れるようにそちらに目をやった。見ると老人が2人入り口に立っていた。明らかに双子だ。
猪吉さんの「いらっしゃいませ」という声が蛇子の呪文を消してくれた。

「申し訳ございません。ただいま混みあっておりますのでもしよろしければそちらで    お待ち下さい」
と猪吉さんは入り口横に置かれている低いスツールに手の平を向けた。
双子はそれが聞こえたのか聞こえなかったのか、片割れが猪吉さんと雪子さんを指差してこんなことを言った。
「おや、あんたらも双子かい。いやー奇遇奇遇。まさか同じ双子が営む店だったとは!」
店内にいた全員がそれまでとっていた行動を中断し、双子とカウンターの中の2人を見比べた。食事の音、雪子さんが料理をする音、猪吉さんがグラスに酒を注ぐ音、本をめくる音、それまで私達が立てていた全ての音がやんだ。その時初めて店に流れている曲がジェーン・バーキンの「ジュテーム・モア・ノン・プリュ」であることに気付いた。

雪子さんの顔が青ざめていた。
突然猪吉さんが笑い始めた。「私達双子に見えますか?」
双子「どうみても双子じゃあないか。ふむ、歳が離れた双子か。珍しいのお」
双子は真面目くさった顔でそんなことを言った。
猪吉さんはさらに大声で笑った。客たちも双子の冗談だったのかと安心し猪吉さんの笑いに乗じた。しかし私は笑えなかった。なぜならあの双子は「ラビット病」の登場人物だったからだ。あの物語にも今のようなエピソードが書かれていた。

私は雪子さんに目をやった。彼女も笑っていなかった。さっきより顔色が悪い。大丈夫かと声をかけようとした時蛇子がスツールからおりて立ち上がった。
「オウサマノミミハロバノミミ」彼女は雪子さんに向かってそう言った。いまだ笑っているほかの人たちに、その声は聞こえなかっただろう。蛇子はカウンターにお金を置いてそのまま店を出て行った。




posted by pikkumyy at 14:14| Comment(5) | TrackBack(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月28日

ART SPACE

久々の紅天は相変わらずの大盛況。
10分ほど待っているといつもの席が空いた。隣は蛇子さん。
猪吉さんが出してくれたティオペペを啜りながら読みかけの「ラビット病」を注文した。

この本は、破天荒だけど天涯孤独な少女、ゆりと彼女にべた惚れのアメリカ人の恋人、ロバート(通称ロバちゃん)との物語である。
物語の中に「耳」と呼ばれる食べ物がしばしば登場する。
これは2人の間の隠語なのだが、この「耳」の描写が実にうまく(単にお腹が減っていてそう感じただけかもしれないが)、ゆりが「耳」をじゅうじゅう焼くシーンを読んでいて自分もそれが食べたくなってきた。

私は葛藤していた。
「耳」が食べたいがために紅天を出て近くの中華飯店に入るか、それとも久しぶりの紅天で雪子さんの料理をいただくか。
その時すでに八割がた「耳」に心が占められていたのだが、紅天ファンの自分が「耳」ごときのために他の店へ赴くことが許せなかった。
紅天でのひと時を大切にしたいと思いつつも「耳」に支配されゆく自分。
蛇子の耳にまでかぶりつきたくなってきた。

あー耳、耳、耳、今夜は耳を胃にいれない限りは眠れん!と思い席を立とうとしたその時、雪子さんが私の前に料理を出した。
しまったー料理を出されてはもう途中退席は許されん!
優柔不断な自分がつくづく嫌になった。

ところが出された皿を見て驚愕。
皿の上には「耳」が3つのっかっていた。
しかも「ラビット病」に出てくる「耳」のように焦げ目がたっぷりで。
驚きと感動でしばらく目の前の皿を呆然と眺めていた。
雪子さんの「熱いうちに召し上がれ」という言葉でようやく我に返り「耳」に手を伸ばした。

それは私が求めていた「耳」の味そのものだった。
紅天で「耳」が食べれたことが嬉しくて嬉しくて涙まで出そうになった。
よほどにやけていたのだろうか、ふと視線を感じ横を見ると蛇子が私をじっと見ていた。
そして小さな声でこうつぶやいていた「ロバノミミ ロバノミミ ロバノミミ・・・」

つづく


天狗男様

ちょうどここらへんで紅茸天狗の不思議をまとめた方がいいと思ってたところです。

紅天不思議録
1、立ち入れば嫌な気分が消えてなくなる不思議
2、人間ではない蛇子さんの不思議
3、架空の本が存在する不思議
4、本の世界に迷い込む不思議
5、これらの不思議に動じない雪子さんと猪吉さんの不思議

さしあたりこんなとこでしょうか。

<今日の食事>
池袋 ART SPACEより
●薬膳の前菜
IMGP1065.JPG
●フルーツと海老のマヨネーズ和え
IMGP1066.JPG
●牛肉のスペアリブ 胡椒炒め
IMGP1067.JPG
●きのこと竹の子入り豚肉炒め
IMGP1068.JPG
●薬膳鶏肉入り魚翅湯
IMGP1069.JPG
●蝦仁炒飯
●赤ワインデキャンタ(カヴェルネソービニョン)
●シェリー(ティオペペ)
●楊貴妃
オリジナル
●耳
<今日の本>
「ラビット病」山田詠美
posted by pikkumyy at 08:19| Comment(9) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月23日

カプリチョーザ7

紅茸子様

雪すごいですね。
今日は長靴で紅茸天狗までやってきました。
いつもならこの時間スツールは客で埋まっているのに今日はさすがに私と蛇子さんだけです。彼女いつも通り特別メニューをがつがつ食べてますよ。
飲み物はいつもモッキンバードのようです。
あの色爬虫類めいててぴったりですね。

さて、紅天の「謎を解く鍵」ですが、私のような普通の客が知る由もありません。
それにあなたが紅天の何を謎だと思っているのかもわかりません。
よろしければ詳しく教えてください。

私もこの紅天には何か大きな秘密があるのだと思います。
その秘密に触れてみたくもありますが、そうした途端紅天は泡のように消えてしまう、そんな予感も抱いています。
ここは何かとても儚いものでできている。そんな気がしませんか?
不思議は不思議のまま、秘密は秘密のまま、そうすることが暗黙のルールであるようなこの空気。茸子さんも感じるでしょ?

天狗男

<今日の食事>
新宿カプリチョーザ
●ピザカプリチョーザ
●ライスコロッケ
●赤ワイングラス×5
<今日の本>
一九七七 卒業 鳴海章


posted by pikkumyy at 21:00| Comment(15) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月21日

ナガニ

天狗男様

紅茸天狗は見える人と見えない人がいる?
天狗男さん、それはどういうことですか?
私たちが日本昔話みたいに狐につままれたり狸にばかされたりしてるということですか?
あなたの言ってることがよくわかりません。
でも確かに不思議なことが頻発するから誰にでも見えるものじゃないと言われればそうなのかと納得できるようなできないような・・・
もしかしてあなたはこの店の謎の答えを知っているのですか?
紅天の不思議な現象がなぜ起こるのかご存知なのでは?

紅茸子

追伸:私は紅天を見れる人間で幸せです。
   大切なのは自分が見るもの感じるものを信じることです。

<今日の食事>
高田馬場 ナガニより
●ビルマ風春巻き
●海老の包み揚げ
IMGP1058.JPG
●ふわふわ玉子焼き
IMGP1057.JPG
●モヒンガー(魚スープのビーフン)
IMGP1061.JPG
●グラス赤ワイン×3
●こまさ(梅酒)
<今日の本>
「春の夢」宮本輝
posted by pikkumyy at 07:17| Comment(37) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月19日

月の宴

紅茸子様

私も同じようなことを考えたことがあります。
私が夢を夢としか認識できないように、夢の中の自分はこちら側の世界のことを夢であ
ると認識しているのかもしれないと。どちらの自分も現実ではないだろうかと。

それとも逆に自分が非現実なのでしょうか。
現実の自分が私の夢を見ていて、私はその登場人物にすぎないかもしれない。
だけど物語の登場人物が自分が実は物語りの登場人物であることを知らないように、私も与えられた筋書きを歩んでいるだけなのに、自分の頭で考え行動していると疑いを抱かず、自分が生きているこの世界こそが本物であると思い込んでいるだけかもしれない。

疑い出したらきりないですね。何が本物で何が偽物なのか、何が現実で何が非現実なのか。
私たちは明確な答えを導き出すことはできないでしょう。

そういえば茸子さんが読んだ「桜雨」にこんな一節がありましたね。
「目に見えてないものが現実でないと言えるかい。人の心は目に見えない。だけどそれが非現実だといえるかい」
ご存知でしたか?
紅茸天狗は見える人と見えない人がいるんですよ。
それなら私たちがここで過ごしているこの時間はいったいなんなのでしょう。
私たちは現実にここで酒を飲み、食事をし、読書し、筆をはしらせている。
しかしこの店が見えない人たちから言わせればそんな時間は非現実なのです。
そしてこの現実ではない店にいるわたし達の存在すらも彼らは非現実と認識しているのです。

天狗男

<今日の食事>
●手づくり吟醸豆富
●有機水菜とベーコンのアメリカンシ−ザ−サラダ
●チ−ズベ−コン巻炭火炙り焼
●ぼたん鍋
<今日の本>
「春の夢」宮本輝
posted by pikkumyy at 20:35| Comment(12) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月17日

JYU

天狗男様

今朝は夢見が悪く、朝からひどく疲れていました。
夢の中で私は変な事件に巻き込まれてばかり。
仕事で不祥事を起こし追い詰められたり、友達からののしられ絶交せまられたり、近所で起きた事件の犯人扱いされたり。もうくたくたでした。
夢は精神状態を反映してるといいますが、今朝の夢はどういう心の表れでしょうか。

時たまこう思うのです。
実はパラレルワールドは無限にあって、その数だけ自分も存在しており、毎晩見る夢はそれら並行世界の一部を覗く行為なのではないかと。
だから当然私の生活も違う世界の私が夢として見ていることになります。
今日見た世界の私がこの世界の私の夢を見たら、いったいどう思うだろう。
平和過ぎて退屈するかもしれません。

これまで色々な夢を見てきましたが、私ほど平凡で穏やかな生活を送ってる人はいなかったと思います。
でもそれも結局私の価値観であり、もしかしたら並行世界では通用しないものかもしれません。
彼女たちも実は自分が一番平凡だと感じてるかもしれないのです。
そして私の夢を見て疲れてしまったり、幸せな気分になったり、楽しんだり、悲しんだり、恐怖にかられてるるかもしれない。そんな風に思うのです。

今日の夢ではどんな世界の私を見るのだろう。そしてどんな世界の私がこの世界の私の夢を見るのだろう。そう考えると夢を見ることがもっと楽しいものになりそうです。交感神経が高ぶって眠れくなりそうですが・・・。今日は週初めだしできれば平和な夢希望。

紅茸子

<今日の食事>
渋谷 JYUより
●レバー
●エビとエリンギのガーリックソテー
IMGP1053.JPG
●白子ぽんず
●キムチ炒飯
IMGP1055.JPG
●鮪とチーズの揚げ餃子
IMGP1054.JPG
●生レモンサワー
●グラス赤ワイン×3
<今日の本>
「桜雨」坂東眞砂子書き忘れ
posted by pikkumyy at 04:58| Comment(8) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月16日

アジアンキッチン

紅茸子様

その蛇女、さっきまで私の隣に座っていました。
「お母さんが恐い」まさにその通りです。
しかしあの蛇子さんは誰に危害加えるでもなくひたすらモッキンバードを飲んでいました。
食べ物は何を食べるのかと思いちらちら見ていたけどやっぱ肉食みたいです。
出されたピザもトッピングのアンチョビしか手つけてなかったし。
もったいないと思ってたら女店主、ピザの皿をさげて
「あらごめんなさい。あなたにはこちらでした」って違う料理を出していました。
蛇子さんがつがつ食べてた。噛まずに飲み込んでましたよ。
彼女が去ってから女店主に訊いてみたんです「隣の女性に出された料理は何?」って。
そしたら「彼女は特別メニューなの。今日はレバノン風カエルの姿煮とイナゴのプディング」とのこと。
その他ベジタリアンや宗教的に食べれないものがあることを申し出れば特別メニューで対応してくれるそうです。
しかし蛇用の食材を常備してるなんてさすが紅茸天狗。

天狗男


<今日のメニュー>
池袋 アジアンキッチンより
●トム・ヤム・クン
●ふわふわ卵のエビチリ
●ヴぇトナム・ピッツァ
●タイ風お好み焼き
●トルコアイス
●ジンバック
●赤ワインデキャンタ
<今日の本>
「黒の貴婦人」西澤保彦


posted by pikkumyy at 23:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月14日

WHO'S FOODS

天狗男様

色々ありがとうございます。
助かりました。

今日ここに来る途中で蛇を踏みました。
枯れ葉色の小蛇です。
なぜこんな真冬に蛇が道端に横たわってたのか謎です。
私はびっくりして蛇から足をどけました。
そしたら蛇が喋ったんです。
「踏まれたので仕方ありません」と。
私は蛇が大の苦手なので走って逃げました。

ここにたどりついて本を頼んで、出されたお酒を飲んでようやく落ち着きました。
ほっと一息ついて読書に入ろうとしたらあの2人の「いらっしゃいませ」という声。
客が入ってきたようです。
私はかまわず本を読み始めました。
川上弘美の「蛇を踏む」です。
先刻の出来事があったので選んだのですが、冒頭がさっきの状況と全く同じだったので頭がくらくらしてきました。
いったん本を閉じお酒を飲んでご飯を食べました。
大根サラダの大根にタレがしみこんでて美味しかった。

ふと横を見るとさきほど入ってきたとおぼしき女性が私から二つ席をあけて座っていました。
私の視線に気付いたのか彼女もこちらに顔を向けました。
私はその瞬間蛙のように身動きできなくなりました。
頭に浮かんだのは楳図かずおの「お母さんが怖い」。
その女性は半分蛇だったのです!
もしかしてさっきふんづけた蛇かもしれません。
今もあの席にすわって私をじろじろ見てます。
視線を感じるのです。
私これを書いたらすぐ帰ります。
あの蛇女が「私はあなた姉」なんて言い始めたら嫌だから走って帰ります。
それとも蛇は足が速そうだからタクシーにしようかな。
でも金曜日はタクシーつかまりにくいしやっぱダッシュしかなさそう。

<今日の食事>
池袋WHO'S FOODSより
●生桜海老と水菜の和風大根サラダ
サラダ.jpg
●小海老と若鶏のタイ風カシューナッツ炒め
カシューナッツ.jpg
●小龍包
●ブラックアイ
●ボンベイサファイア(ロック)
●チュラディア(シークァーサーとウコンのサワー)
●グラス赤ワイン
<今日の本>
「蛇を踏む」川上弘美






posted by pikkumyy at 07:57| Comment(35) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月12日

アニスの実の酒

昨晩はゆっくり湯船につかりたかったのでまっすぐ帰るはずだった。
しかしどうしても天狗男さんからの返事を確認したくて紅茸天狗へ赴いてしまった。

紅茸天狗に到着するとバーテンのいつもの「いらっしゃいませ」という明るい声。
女店主はあいかわらずぼそりとつぶやくだけ。
あの一件があってからもこの2人の態度は変わらない。

店は空いていたので私はいつものように一番奥の本棚に近い席に腰をおろした。
「異邦人」は読み終わっていたので、何か新しいものを見つけるためメニューリストを開いた。
斜め読みでざっと目を通してるだけだったが、私はそこで驚くべき本を発見した。
「アニスの実の下で」月鎮季里子(つきしじきりこ)
月丘花林の「ろうあ者の遺言」の右隣にそこにあるのが当然かのごとく並列されている。
「アニスの実の下で」は「異邦人」に出てきた小説だ。
そして作者月鎮季里子はその登場人物。

私はためらわず「アニスの実の下で」を注文した。
バーテンはいつもと変わらぬ様子で本を渡してくれた。
表紙も「異邦人」に描写されてた通り若い女性がもう一人の女性の髪に口づけをしている絵だし、内容も全く同じだった。

小説を半分以上読んだとこで時計を確認すると残り時間わずか30分だった。
あまりに夢中に読んでいたため出された食事にほとんど手をつけていなかった。
本を閉じ慌てて食事をかきこんだ。
そしてゲストノートをめくった。

「紅茸子様

そんな悲観的になることないですよ。
確かに電球は暗闇を深くしたかもしれませんが、電球が発明されたことによってそれまで見えなかったものが見えるようになったのも事実です。
それに「闇が深くなった」のではなく、「闇は深い」という事実に気付いただけです。
そして自分がそれまで平気でそんな深い闇にいたことが信じられなくなりもう過去の自分には戻れない、戻りたくないと思い始めるのです。

成長とはある意味それまでの自分を捨てることです。
もう戻れない自分自身を羨んでも仕方ないのです。
あなたは望んで傷つき、悩み、苦しむという道を選択したのです。
それによって得た喜びもあるでしょ?
そしてそういった喜びは闇を知った分だけ大きいはず。
茸子さんははそれを求めて走り始めたのではないですか?

天狗男

追伸:あなたの今夜の運勢→玄関マットにご注意」






天狗男からの手紙
posted by pikkumyy at 20:17| Comment(5) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年01月10日

18番

天狗男様

本のメニューを手にとって、どれにしようか考えていたのですがぴんとくるものがありませんでした。
気付けば今日は始終そんな感じ。
いつもならいいなと思うであろう言葉や文章にもいまいちときめかないのです。
脳の言語野が今日はお休みしてるようです。
なので今日は視覚に頼って本棚から直接選びました。
そして選んだのが西澤保彦の「異邦人」。
肌色に近い桃色の表紙を思わず手に取りたくなりました。
いつもなら寒色を好むのに今日は暖かい色に惹かれました。
手に取って装丁を見てみると淡黄色の2着のセーター。
これこそ寒波厳しい今日読むべき本だ!と思い今日の本として即決しました。

その中の一節
「電球を発明したことでより暗闇が深くなってしまった」
まさにその通り。
自分のためと思い成長、進歩、楽しみを思い求めるのに、それによってもたらされる悩み。
それに向かって走り出さなければ知らずにすんだ闇。
何も望まず、何も知らず、何も創らなければ、あるいは苦悩などないのかもしれません。
それなのになぜ私は走るのをやめられないのでしょうか・・・。

また愚痴ってしまいましたね。すみません。
お酒飲むと愚痴りたくなるんです。
どうぞ聞き流してください。

紅茸子

追伸:あのふたりについて何かご存知ですか?

<今日の食事>
恵比寿 18番より
●陶板焼きマッシュルーム
IMGP1048.JPG
●生ハム盛り合わせ(イベリコ、サンダニエール)
IMGP1047.JPG
●パルメジャーノ・ライスコロッケ
IMGP1049.JPG
●シェリー(オロロソ ムサ)
恵比寿 buriより
●鳥塩レバー
●黒糖モヒート
恵比寿 Tapachosより
●エビのピンチョス
IMGP1051.JPG
●赤ワイングラス×2(フィンカ・テンプラニージョ2004)
<今日の本>
「異邦人」西澤保彦
posted by pikkumyy at 22:24| Comment(10) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

広告


この広告は60日以上更新がないブログに表示がされております。

以下のいずれかの方法で非表示にすることが可能です。

・記事の投稿、編集をおこなう
・マイブログの【設定】 > 【広告設定】 より、「60日間更新が無い場合」 の 「広告を表示しない」にチェックを入れて保存する。


×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。