2006年05月31日

PAZOOW

その後雪子さんが男を連れて奥へ行ってしまったのででどういう話になったかはわからない。
それにしてもあの男が言っていたことは天狗男さんが言っていたこととかぶる。
あの2人は何かつながりがあるのだろうか。
そんな疑念を胸に昨夜も紅天へ。

驚いたことにあの男がカウンターに腰掛けぐい飲みで酒を飲んでいた。
雪子さんも猪吉さんも、普段どおりの場所で自分の役目をこなし、。
蛇子もハンチも彼の横で平然と飲み食いしている。
まるで男は昔からの常連客であるかのようにその場に溶け込んでいた。

私は男の隣席に腰をおろした。
酒を飲みながら黙々と本を読んでいる。
何を読んでいるのか横目で盗み見ると、「アンデス〜」という題名だった。
私が盗み見ているのに気付いたのか突然男から話し掛けられた。

男「この本が気になる?」
  まさか声をかけられるとは思わなかったので驚いた。
男「僕の兄がペルーに行っていたんだ。それでちょっと興味を持ってね」
私「ペルーに?」
  男は意味ありげに微笑んで頷いた。
  天狗男さんが七色のキノコを探しに行ったのもペルーだ。
  ナスカの地上絵を見たいと言っていた。
私「あなたのお兄様って・・・」
男「あなたは茸子さんだろ?兄から聞いたことがある」
私「え!やっぱり天狗男さんの弟なの!?」
男「似てないかい?」
私「いえ、私見たことないからわからないけど」
男「そうか。あなたは見たことないんだね。兄はどうやら見たことあるらしい。だから僕も茸子さんのことがすぐわかった」
私「はあ」
猪吉さん「はい赤ワインどうぞ」
私「ありがとうございます(ワインを一口啜る)あの、天狗男さんは今どちらに?」
男「また旅に出たみたいだ。僕も行き先を知らない。今までは七色のキノコを探すために飛び回っていたけど、今度は純粋に自分のためだけに旅に出たんじゃないかな」
私「七色のキノコって結局なんだったのですか?イルマタルがどうのって」
男「あそこに座ってるの。あのハンチングの隣の女。あいつだよ」
私「やっぱり彼女なんだ」
男「あのキノコを食べた女性なら誰でもイルマタルになれる。彼女はついてただけさ」
私「イルマタルになることはついてることなの?天狗男さんもあなたも雪子さんがあのキノコを食べなかったことにかなり憤ってたみたいだけど」
男「まあね。でも、もうどうにもならないから」
私「・・・」
男「(ぐいのみの酒を飲み干し席をたつ)どうなるのかな。この店」
私「え?」
男「さよなら」

  天狗男さんの弟は雪子さんと意味ありげな視線を絡ませて店をあとにした。
  蛇子は2人の目だけのやり取りを見てレロレロ舌を出していた。
  蛇は舌で匂いを嗅ぐんだっけ?

<今日のごはん>
PAZOOより
●卵とトマトのサラダ
pazoo2.jpg
●自家製サルシッチャ(ソーセージ)
pazoo1.jpg
●マルゲリータ
●ポルチーニ茸のリゾット
●赤ワイングラス

<今日の本>
「森の中の海(上)」宮本輝
posted by pikkumyy at 20:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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