2006年01月28日

ART SPACE

久々の紅天は相変わらずの大盛況。
10分ほど待っているといつもの席が空いた。隣は蛇子さん。
猪吉さんが出してくれたティオペペを啜りながら読みかけの「ラビット病」を注文した。

この本は、破天荒だけど天涯孤独な少女、ゆりと彼女にべた惚れのアメリカ人の恋人、ロバート(通称ロバちゃん)との物語である。
物語の中に「耳」と呼ばれる食べ物がしばしば登場する。
これは2人の間の隠語なのだが、この「耳」の描写が実にうまく(単にお腹が減っていてそう感じただけかもしれないが)、ゆりが「耳」をじゅうじゅう焼くシーンを読んでいて自分もそれが食べたくなってきた。

私は葛藤していた。
「耳」が食べたいがために紅天を出て近くの中華飯店に入るか、それとも久しぶりの紅天で雪子さんの料理をいただくか。
その時すでに八割がた「耳」に心が占められていたのだが、紅天ファンの自分が「耳」ごときのために他の店へ赴くことが許せなかった。
紅天でのひと時を大切にしたいと思いつつも「耳」に支配されゆく自分。
蛇子の耳にまでかぶりつきたくなってきた。

あー耳、耳、耳、今夜は耳を胃にいれない限りは眠れん!と思い席を立とうとしたその時、雪子さんが私の前に料理を出した。
しまったー料理を出されてはもう途中退席は許されん!
優柔不断な自分がつくづく嫌になった。

ところが出された皿を見て驚愕。
皿の上には「耳」が3つのっかっていた。
しかも「ラビット病」に出てくる「耳」のように焦げ目がたっぷりで。
驚きと感動でしばらく目の前の皿を呆然と眺めていた。
雪子さんの「熱いうちに召し上がれ」という言葉でようやく我に返り「耳」に手を伸ばした。

それは私が求めていた「耳」の味そのものだった。
紅天で「耳」が食べれたことが嬉しくて嬉しくて涙まで出そうになった。
よほどにやけていたのだろうか、ふと視線を感じ横を見ると蛇子が私をじっと見ていた。
そして小さな声でこうつぶやいていた「ロバノミミ ロバノミミ ロバノミミ・・・」

つづく


天狗男様

ちょうどここらへんで紅茸天狗の不思議をまとめた方がいいと思ってたところです。

紅天不思議録
1、立ち入れば嫌な気分が消えてなくなる不思議
2、人間ではない蛇子さんの不思議
3、架空の本が存在する不思議
4、本の世界に迷い込む不思議
5、これらの不思議に動じない雪子さんと猪吉さんの不思議

さしあたりこんなとこでしょうか。

<今日の食事>
池袋 ART SPACEより
●薬膳の前菜
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●フルーツと海老のマヨネーズ和え
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●牛肉のスペアリブ 胡椒炒め
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●きのこと竹の子入り豚肉炒め
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●薬膳鶏肉入り魚翅湯
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●蝦仁炒飯
●赤ワインデキャンタ(カヴェルネソービニョン)
●シェリー(ティオペペ)
●楊貴妃
オリジナル
●耳
<今日の本>
「ラビット病」山田詠美
posted by pikkumyy at 08:19| Comment(9) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
紅天物語〜茸子推理編〜

なんらかの理由で生まれ故郷であるみかんの産地から夜逃げ同然で一人上京した雪子さん。東京へ来たはいいが頼るあてなどなく途方にくれていた。
お金はありったけ持ってきたので当面の暮らしに問題はないが、一つ気がかりなことがあった。それは長い間悩まされていた白血病の再発。手術は成功したと言うが再発しないとも限らない。誰も知る人のいない東京でもし病気になってしまったら、それを思うと心細くてしかたがない。
新しい土地での暮らしを安定させるため漢方薬局でアルバイトを始めた雪子さん。そこの店主は薬効茸にも詳しく彼女はそこで薬効茸の知識を身につけるのだった。 半年も勤めると自分で茸を仕入れるとこから煎じて調合するまで一通りのことができるようになった。
その知識を生かし独立した雪子さん。自分で調合した薬効茸と陳皮のお茶を薬局に卸したり、ネットで販売するようになった。自らの病気再発防止と健康のためにも毎日欠かさず飲んでいる。
ある日雪子さんのオフィス兼自宅のアパートに男性から電話がはいった。
男「自分はカクテル作りの修行をしてるも  のです。是非あなたのご意見をうかが   いたい」
雪子はカクテルについては何も知らなかったので間違い電話かと思った。
男「いやそうではありません。昨今世は健   康ブーム。私もその波に乗り健康カク   テルを開発したいのです」
そういうことならと思い雪子は男と直接会って話をすることにした。その男こそ猪吉さんだった。
その出会いを機に彼らは親しくなった。雪子さんはようやく東京で信頼できる人を見つけることができ、そこでの生活が潤い始めようとしていた。
そんな時、不穏な空気とともに現れたのがハンチングマンだった。 つづく
Posted by 紅茸子 at 2006年01月28日 15:36
ー紅天物語Aー
病気は進行を続けた。医者は骨髄移植以外の選択肢がないことを雪子さんに告げる。しかし雪子さんのドナーが見つからないのだ。彼女の血液は一億人に一人といわれる血液型。弟であるハンチングマンも適合しない。絶望にくれ、枕を涙で濡らす毎日。愛媛から両親もかけつけたが、医者はただもうなすすべがないと首をうなだれるばかり。そんなときだった、猪吉がドナー検査を申し出てきたのだ。猪吉はこの病院の食堂で働いていたコックだった。腕は超一流、なぜこんな食堂のコックをしてるのか誰も知らない。笑うこともなく、ただ仕事が生きがいのうな生真面目な男。それが彼を知る人達が口を揃えていう人物像だ。しかし、そんな猪吉がいつからか雪子さんと笑顔を見せて病院の庭で話し込む姿を目撃されている。これも病院の7不思議と看護士たちをはじめとする関係者は後に証言している。ドナー検査の結果は一億分の一の「適合」だった。移植手術は即実施に移され、手術は成功した。しかし、それからだ、雪子さん自身が不思議な力が宿ったことを知るのは。
つづく
Posted by 湖南 at 2006年01月28日 15:53
紅茸子さん、湖南さん

おもぃしれぇけどハンチングマンがキーだな、二人の違いは。湖南さんの推理じゃ弟だし、茸子さんの推理じゃ弟でない別の男だ。推理が一致しているのはみかんの国(愛媛)から上京してきたということと、雪子さんが白血病を患ってたということだな。
Posted by ひょうたんから駒 at 2006年01月28日 16:00
紅茸子さん

わたしの不思議発見。

1、立ち入れば嫌な気分が消えてなくなる不思議
あったりまえのこんこんちきじゃん。入れれば気持ちいいもん。茸子さんそう思わない?

2、人間ではない蛇子さんの不思議
フロイトが言っていたわ、蛇は○○スの化身だってさ。見える人はきっとたまってんのよね、そんな話聞いたことあんでしょ、ねぇ茸子さん?

3、架空の本が存在する不思議
架空の本ってなんだったけ?

4、本の世界に迷い込む不思議
料理とお酒も手助けね、トリップしちゃうでしょ、いい気持ちになって。

5、これらの不思議に動じない雪子さんと猪吉さんの不思議
あの二人怪しいんじゃない。どういう関係か、わかんないけど妙に「あ・うん」で何でもやっちゃうのよね。「あぁ〜うぅ〜ん、あハ」じゃないのよ、わかる?人間じゃないみたい。普通じゃないわよ、絶対。

6、新たな不思議発見
耳じゃないけど、みんなには食べたいと思ったものを出してくれる不思議。
だけどぉ、いつも男が食べたいって思ってる私には精進料理しかだしてくれない不思議。

茸子さんにお願い。男たべちゃいたぃって念じてみてよぉ。出してくれたらそれこそえこひいきだわぁ。
Posted by 人妻コメット at 2006年01月28日 16:32
紅天物語〜茸子推理編2〜

ハンチングマンはなんの前触れもなく雪子さんのアパートにやってきた。彼は雪子さんの学生時代からの友人で、彼女が以前婚約していた男の弟だった。
ハンチングマンは雪子さんに故郷の町に帰ってくるよう説得にかかった。彼らの町は一人でも住人がかけると大変なことになる。そして雪子さん自身に災いが降りかかることを皆一番恐れていた。町は今大騒動になっているというのだ。
雪子さんもそのことは十分承知していた。
しかし彼女は逃げ出さずにはいられなかった。町にいる限り、自分の運命がどういうものになるか知ってしまったからだ。自分は殺される。彼女はそう確信していた。だから逃げてきたのだ。
ハンチングマンに居所を突き止められ、雪子さんは薬効茸の商売をやめることにした。ハンチングマンには内緒で引越しをし、それまで蓄えた金で紅茸天狗をオープンさせた。夜の商売であればハンチングマンの目もくらませられると思ったのだ。
猪吉さんには全てを話していた。彼は少しでも雪子さんの支えになりたいと申し出てバーテンとして紅天で働くことになった。
つづく
Posted by 紅茸子 at 2006年01月28日 19:14
ー紅天物語Bー

不思議な力についての話をする前に、雪子さんの愛媛時代に話を戻そう。彼女は恋多き女だった。美しい瞳に美しい髪、すらりと伸びる脚はその姿を見た人が思わず振り向いてしまうほどの見返り美人。そんな彼女を男達がほっておくはずがなかった。彼女が男達に囲まれ男達を連れて街を歩く姿を見かけない日はなかったと当時を知る友人達は証言する。彼女の体を通り過ぎた男も何人かいたようだ。しかし彼女の心が充たされることはなかった。どの男達も彼女が見えるものが見えなかったからだ。彼女は同じものを見ることができる男との出会いを夢見ていた。いつかきっと、そんな見果てぬ思いをあきらめかけていたその時、まさにその時、その男と出会った。同じものが見える男。出会いは突然だった。
つづく
Posted by 湖南 at 2006年01月28日 22:43
人妻コメット様

架空の本→「アニスの木の下で」
Posted by 紅茸子 at 2006年01月29日 07:30
紅茸子さん

早速教えてくれてありがとぉ。思い出したわ「ア」が「ぺ」に見える本ね。紅天の本って結構なんでもありなのよねぇ。そこの不思議も入れときゃなくっちゃね、茸子さん。
Posted by 人妻コメット at 2006年01月29日 08:18
紅茸子さん


耳の街があるってご存知でしたか?耳だらけなんです、街中が。この街の耳はアツアツをいただく前にふうふうと息をかけてやると、箸の先でいやぁんってかんじで身をよじるんですよ。本当です。一度訪ねるてみてください。

http://www.miyapara.com/gyouza/index.shtml
Posted by 絵はがき坂 at 2006年01月29日 12:46
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