2006年03月14日

茸祭レポートU

みんな私を待っていてくれたようだがしびれをきらして祭は始まった。私が声も発せ無かったので仕方がない。
長机に並べれれているご馳走と屋台料理の美味しい匂いが食欲を刺激した。しかし今私は何に触れることもできないので食べることもできない。拷問に近い。
上映会の時間になり、いくつかの作品が上映された。私も声をたてて笑いたかったがそれもできなかった。それはライブの時間になっても同じだった。
皆が私の不在を訝しがっている。「私はここだよー」と自分では口をぱくぱくさせているつもりだった。誰も気付いてくれない。
結局せっかく作ったきのこ汁は皆にお披露目されることなく終わってしまった。
皆きのこ寺を後にして帰っていく。私はその後姿を見送って寺の台所へ向かった。
きのこ和尚がきのこ汁の鍋の前に立っていた。何をしているのだろうと首をかしげていると、和尚がこちらを振り返った。
「こりゃあんた、今までどこにおったがね?」
え?
「皆心配してたがよ。どこへ行ったがて」
え?なぜ私の姿が見えるの?
「どっか体調でも悪くしたがね?」
自分の手の平を目の前にかざしてみた。見える!横の壁に触れるとしっかりした手ごたえを感じる。
「私、戻ったみたいです!」
「はあ?どっから戻ったが?」
「私今まで消えてたんです。幽霊みたいに姿が見えなくなって声も出せなかったんです」
「ああ?」
「きのこ和尚さん本当なんです。きのこ汁を味見したら急に」
「あっらー。もしかしてあの調味料いれたがか?」
「もちろん」
「もーしかしたら違う包み渡してしまっただがなあ」
「え?」
「いやー透明になる薬があるだがよ。それが入った包みと間違えだがもしれん。ガハハハハ」
しばらくその高笑いに呆気にとられていた。
「でもあんたさんがた、こまし茸は食べなくて正解じゃがよ。あれを食って幸せになった者はおらんだが」
「でも、好きな人にこまし茸食べさせれば相思相愛じゃないですか。幸せですよ」
「あんたトリスタン・イズーの話知らんがか?相思相愛全てが幸福とは限らんだがよ。へたな相手に惚れてしまったら、あんたさんどうするだがね。こまし茸はそんじょそこらの媚薬とはわけが違うだがよ。惚れたが最後地獄の果てまで惚れぬいてしまうおっそろしいきのこだがな」
きのこ和尚の口からまさかトリスタンの名前がでるとは思わなかったが、確かにハンチに地獄の果てまで惚れ抜いても私は幸せになれないだろう。でもただ盲目に誰かを好きになれたらそれはそれで幸福な気もする。空っぽよりはハンチにでも恋したほうが案外人生楽しいかもしれない。

<今日の食事>
池袋 ナマステカトマンズより
●スパイス・ポテトサラダ
IMGP1128.JPG
●タンドリーチキン
●モモ(ネパール風しゅうまい)
IMGP1130.JPG
●マトンのクルチャ(マトンの挽肉入りナン)
●干し野菜のカレーとプレーンナン
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●チャン
●赤ワイングラス×3
<今日の本>
「ナラタージュ」島本理生



 なめおさすらい日記
posted by pikkumyy at 21:37| Comment(9) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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