2006年03月01日

月の庵

ハンチ蛇子物語 つづき

春が終り梅雨に入いった。その頃になるとヘビコはすっかりハンチ家族の一員のようだった。ヘビコはハンチの行くところにはどこでもついていこうとした。マチもヘビコが気に入り、多少変わったところがあるものの、本気でハンチの嫁にしたいと考えるようになっていた。

ある雨の日、ハンチはヘビコと一緒に食料の買出しへ出かけた。いつもはマチが行くのだが季節の変わり目のせいか数日前から風邪を引き寝込んでいた。
家を出るときハンチはマチの赤い傘をヘビコに渡した。ヘビコはきょとんとしただけで傘を受け取ろうとしなかった。
「雨降ってるだろ。これさせって」
「いやです。さしません」
「・・・かっぱ派なんか?」
「かっぱも着ません。雨に濡れて行きます」
「外見てみろ。小雨や霧雨じゃないんだぞ。ずぶ濡れんなって母ちゃんの二の舞だ」
「風邪はひきません。濡れるの好きです。ハンチも濡れてみればわかる」
「そうだな。新しいハンチングがびちょびちょになって、俺の天パが雷様よりひどくなるってことはわかるかもな」
「ハンチ雷様?」
ハンチはちょっと赤くなった。
「なんでもいいからこれさせ!ささないなら家にいろ!」
ヘビコの顔が一瞬泣きそうになった。
「わかりました。傘さします。帰ったら一人で雨浴します」
「雨浴?初めて聞いたな。まあいいや。雨浴は一人でやってくれ。ほれ早く行くぞ」

2人は傘をさし、並んで歩いた。ヘビコは傘を持ってない方の手の平を傘からだして雨にf触れていた。
「ハンチは雨に濡れるの嫌いですか?」
「好きなやつはお前くらいだ」
「私の仲間たちはみんな雨が好きです。雨の日は必ず雨浴をします。そうやって火照った体を冷まします」
ハンチは立ち止まってヘビコを見た。ヘビコも足を止めた。
「・・・ヘビコの仲間ってさ・・・」
ヘビコは首をかしげた。
「いやなんでもない」
そう言ってハンチはまた歩き始めた。ヘビコもハンチの後を追った。

しばらくしてハンチがまた口を開いた。
「そういえばお前初めて会った時自分を踏んだ奴を見つけてなんやかやって言ってたよな」
「はい。私を踏んだ人を見つけないと私は私の世界に帰れません」
「お前の世界ってなんなんだ?」
「私が生まれたところです。私が自分の姿でいられるところです」
それをヘビコの故郷であるとハンチは受け取った。そして『自分の姿でいられる』という言葉の意味を『自分が自分らしくいられる』とい意味で捉えた。
「お前まだ自分をふんづけたやつ探してるのか?」
ヘビコはそれまで雨粒に向けていた視線をハンチの背中に移した。
「お前やっぱ帰りたいんか?」

つづく

<今日の食事>
月の庵より
●じゃこと水菜の京風サラダ
IMGP1112.JPG
●蟹とアボカドのタルタルソース
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●豆腐とペンネの白味噌カルボナーラ
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●蟹チャーハン
●生オレンジ&レモンサワー
●グラス赤ワイン
●ヴィータ・ローザ(薔薇焼酎 ロック)
●白髭(ごぼう焼酎 ロック)
<今日の本>
「ハルカ・エイティ」姫野カオルコ
posted by pikkumyy at 21:25| Comment(20) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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